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歪曲 | Distortion

歪曲とは、私たちの体験を歪ませる、内的な情報処理プロセスのこと。

歪曲は、私たちの情報処理に欠かせません。体験を歪曲することで、私たちはそれに理由づけをしてやる気を起こすなどの動機づけをしています。また事実を歪ませることはユニークな思想・発想の基盤であり、創造性や芸術的才能はこの歪曲の役割がなければ生まれることはありません。歪曲はとても大切な機能なのです。

ただ、歪曲の働きがよくない方へ働く場合もあります。ある情報から、脈絡もなく飛躍した結論を出したり、証拠もなく動機付けたりすることは、選択肢を制限する形に歪曲されていることが多く、それらは不必要な問題や苦痛へ繋がるため注意が必要です。

名称歪曲
意味体験を歪ませる内部の情報処理プロセスのこと。
英語Distortion
歪曲

〈歪曲〉とは?

コミュニケーションモデル〉という「私たちが世界をどう認識しているのか?」を表したモデルがあります。歪曲は、その情報処理プロセス(フィルター)の一つの役割です。

〈歪曲〉の概要

歪曲は、私たちの体験を歪ませる内部の情報処理プロセスのことです。

ある情報や経験をさまざまな形で歪ませることで、その人独自のユニークな思想、創造性に繋がります。しかしそれが不適切な形で適応され、事実から飛躍しすぎた結論や思い込みが形成されると、私たちの選択肢を制限し、不要な問題や苦痛を生み出す原因にもなり得ます。

歪曲にはさまざまな方向性があります。

  • 装飾する/シンプルにする
  • 大きく/小さくする
  • 濃く/薄くする
  • 膨らませる/削ぎ落とす
  • 順番を変更する
  • なかったものを加える

私たちは情報処理の過程で必ず歪曲をしています。それが自身の選択肢や可能性を狭めているときには、歪曲によって制限されていることが何かを明らかにし、情報を集め、調整し直す必要があります。

〈歪曲〉の例

  • 目を合わせないってことは、何か隠しごとがあるんだ。
  • いつになったらやってくれるの?
  • あの出来事のせいでイライラしているんだよね。
  • 私のせいで、彼女に辛い思いをさせてしまった。
  • あの人は私のことなんてどうでもいいんだ。
  • 私の言いたいこと、分かるでしょ?

〈歪曲〉のメリット&デメリット

メリット

歪曲をたくさんする人は

  • 動機付けがうまい、得意(やる気・意欲)
  • 創造性豊か
  • 芸術的才能が発揮しやすい
  • ユニークな思想・発想の基盤となる

という特徴を発揮しやすくなります。

デメリット

歪曲が不適切に行われると、下記のような特徴が現れます。

  • 飛躍した結論を出す
  • 証拠もなく動機付ける

これらが起こると、苦痛や問題が発生しやすくなります。下記の〈不適切な歪曲のパターン〉とその〈調整方法〉を理解して活用しましょう。

〈歪曲〉の弊害

不適切な〈歪曲〉の4パターン

話される言葉によって「不適切に歪曲されているかどうか」を知ることができます。歪曲には4つのパターンがあります。

不適切な〈歪曲〉の4パターン

A=Bと歪曲

「あの人はいつも不機嫌そうだから、私のことが好きじゃないんだ。」のように、本来関係のない2つの内容を〈だから/=〉で繋いで歪曲しているとき

不必要な前提を入れて歪曲

「いつになったらやってくれるの?」のように、何も言っていないのに「やることが前提」になっている場合。条件を明示・言及せずに、歪曲しているとき

不必要な因果関係を入れて歪曲

「あの出来事のせいで1日イライラしてるわ」「私のせいで、辛い思いをさせてしまった」というように、「ある1つの出来事だけが原因になっている」と極端に歪曲されているとき

証拠がないのに「わかる」と歪曲

「あの人は、私のことなんてどうでもいいんだ」「私の言いたいこと、分かるでしょ?」というように、充分な証拠がないにも関わらず人の考えや感情が読み取ることができると歪曲されているとき

不適切な〈歪曲〉を調整する方法

  • 情報を収集する
  • 意味づけを明確にする
  • 制限を明らかにする
  • 選択肢を与える

これらを可能にするのは、自分自身、もしくは相手に〈適切な質問〉をすることです。

⑴A=Bと歪曲

  • あの人はいつも不機嫌そう(A)だから、私のことが好きじゃないんだ(B)。
    • →不機嫌なのが、本当に好きじゃないってことを意味しますか?
  • 目を合わせない(A)ってことは、何か隠しごとがある(B)んだ。
    • →目を合わせないって行動が、どうして隠し事をしているって意味になるのかな?

⑵不必要な前提を入れて歪曲

  • いつになったらやってくれるの?
    • →どうして「やる」って、分かるの?
    • →どうして「やること」が前提なの?

⑶不必要な因果関係を入れて歪曲

  1. 〈因果〉
    • あの出来事(A)のせいでイライラ(B)している。
      • →正確には、Aはどのようにあなたをイライラさせているの?
    • 彼(A)は私を嫌な気分(B)にさせる。
      • →あなたは、どうして嫌な気分でいることを選んでいるのでしょうか?
  2. 〈逆因果〉
    • 私のせい(A)で、彼女に辛い思い(B)をさせてしまった。
      • →具体的に…どのように彼女に辛い思いをさせちゃったと思っているの?
    • 私が(A)、彼を動揺させた(B)。
      • →彼は彼で、その反応を選んだんですね

⑷証拠がないのに「わかる」と歪曲

  1. 〈自分は、相手の心がわかる〉
    • あの人は私のことなんてどうでもいいんだ!
      • →どうして、どうでもいいと思っていると分かるの?
  2. 〈相手は、自分の心がわかる〉
    • 私の言いたいこと、分かるでしょ?
      • →私が伝えたいことは、○○です。

関連キーワード

  • コミュニケーションモデル
  • 一般化
  • 省略
  • 歪曲
  • メタモデル
  • 可能性の叙法助動詞
  • 必要性の叙法助動詞
  • 普遍的数量詞