一般化とは、1つの出来事(ケース・特徴・部分)を、全体を表すものとしてみなす、人の内的な情報処理プロセスのこと。抽象化の一形態。
- 私には“できません”。(できることがあるかもしれないのに、1つの過去の経験からできないと一般化している)
- 人に迷惑をかけるべきじゃない。(ある1つの教え、もしくは経験からルールを決めて一般化している)
など。一般化は、私たちの情報処理に欠かせません。算数の方程式や、科学的法則も、過去のさまざまな研究や事例が一般化されたものです。それらの一般化された法則があることで、世界を理解する足がかりを得ています。また個々人が持つ信念も、各人の経験に基づいて一般化されたものです。私たちが何かを学ぶ際に、一般化はとても重要な役目を担っています。
反対に一般化が危険な場合もあります。それはある特異な出来事を一般化してしまったときや、一般化した後、例外にまったく意識を向けないときです。不適切な一般化は、世界を固定的な枠にはめ込み柔軟性を失わせ、可能性を狭めます。
名称 | 一般化 |
意味 | 抽象化の一形態。 1つの出来事(ケース・特徴・部分)を、全体を表すものとしてみなすこと。 |
英語 | Generalization |
訳 | 一般化 |
〈一般化〉とは?
〈コミュニケーションモデル〉という「私たちが世界をどう認識しているのか?」を表したモデルがあります。一般化は、その情報処理プロセス(フィルター)の一つの役割です。

〈一般化〉の概要
一般化は、ひとつもしくは少数の経験をもとに、全体的な結論を導き出すことです。わずかな経験や知識から、汎用性がある一般的なこの世の法則やルールを素早く学ぶことで私たちは日常生活をスムーズに送れています。
もしも一般化する仕組みがなければ、膨大な情報の海に溺れてしまうでしょう。私たちが短期記憶で保持できる情報の数は3〜5であるという研究があります。(「マジカルナンバー4」)私たちの意識は、ある一定の時間内で、限られた情報しか処理することができないのです。
〈一般化〉の例
- 私には“できません”。
- 彼はいつも正しい。
- 人に迷惑をかけるべきじゃない。(このような考えのことを信念と言います。信念は経験したことの一般化です。)
〈一般化〉のメリット&デメリット
メリット
一般化をたくさんする人は
- 物事の背景にある法則やパターンを掴むのが得意
- そのため理解力が高い傾向がある
という特徴を発揮します。

デメリット
一般化が不適切に行われると、下記のような特徴が現れます。
- 一度一般化した内容については、限定的な枠に入れて考える
- 例外を考慮しない
- 思考においては柔軟性に欠けることが多い
一般化の弊害が起こるのは下記のようなときです。
- ある特異な出来事を一般化してしまったとき
- 一般化した後、例外にまったく意識を向けないとき
これらが起こると柔軟性を失い、選択肢・可能性が狭められます。下記の〈不適切な一般化の種類〉とその〈調整方法〉を理解して、活用しましょう。

〈一般化〉の弊害
一般化は私たちにとってなくてはならない機能ですが、それが不適切な形で適応されると弊害が起こります。
例えば、たった1回の出来事を一生の経験(それを真実とし信念を創り上げる)として捉え、それに縛られて生きていくことになったり、数回しか起きていない出来事にも関わらず、一般化してあたかもそれが当たり前かのように捉えてしまいます。
つまり例外を無視する、もしくは少ない事例を一般化するのは要注意です。これらは偏見や思い込みを生み出す原因にもなり得ます。私たちは情報処理の過程で必ず一般化をしています。それが自身の選択肢や可能性を狭めているときには、一般化によって制限されていることが何かを明らかにし、情報を集め、調整し直す必要があるのです。
不適切な〈一般化〉の3パターン
話される言葉によって「不適切に一般化されているかどうか」を知ることができます。一般化には3つのパターンがあります。詳しくは各記事をご覧ください。
⑴ 可能性について一般化
「私にはできません。」「それをやるのは不可能です。」などのように可能性について否定的に一般化しているとき
⑵ 必要性について一般化
「私がやるべき」「これは人にいうべきじゃない」などのように必要性について固執して一般化しているとき
⑶ 例外について一般化
「みんな」「いつも」「絶対」「すべて」などのように1つの側面にもかかわらず、それを全体を表す代表と見なして一般化しているとき
不適切な〈一般化〉を調整する方法
- 情報を収集する
- 意味づけを明確にする
- 制限を明らかにする
- 選択肢を与える
これらを可能にするのは、自分自身、もしくは相手に〈適切な質問〉をすることです。
⑴可能性についての一般化
- 私には“できません”。
- → 何が、やろうとすることを止めていますか?
- 私には伝えることが“できません”。
- → もし伝えたら、どうなりますか?
⑵必要性についての一般化
- 人は大事にすべきだ。
- → 大事にしないと、何が起こりますか?どうなると思っていますか?
- 人に迷惑をかけるべきじゃない。
- → もし迷惑をかけてしまったら、どうなると考えていますか?
⑶例外についての一般化
- これは必ず失敗すると思うよ。
- → いつも必ず?誰もが?
- 彼はいつも正しい。
- → いつも必ず?これまで一度も間違ったことはない?
関連キーワード
- コミュニケーションモデル
- 一般化
- 省略
- 歪曲
- メタモデル
- 可能性の叙法助動詞
- 必要性の叙法助動詞
- 普遍的数量詞