コーチングでは、結果に大きく影響する要素が2つあります。それは
- コーチングモデル(アプローチ手法)
- コーチ(サポート役となるコーチとのマッチング)
自分に合うアプローチ手法がわかり、相性の良いコーチと出会えることでその効果・体験は大きく変わります。コーチングはこれまでの実践者たちがそれぞれの経験を積み重ね、効果的なアプローチ方法を生み出してきました。
この記事では、コーチングの主要モデルをご紹介します。
コーチングモデルとは?
コーチングは新しいアプローチ方法
コーチングは1990年代からビジネスシーンで活用され始めた比較的新しい目標実現&課題解決方法です。しかし個人の成長だけでなく、組織の発展にも有効であるため、さまざまな場面でコーチングが取りいられるようになってきました。
「相手の中にあるものを”引き出していく”」というのがコーチングの基本です。この基本哲学は同じでも、目的や焦点が異なることによりさまざまなコーチングモデルが生まれてきました。それらのモデルは、それぞれ異なるアプローチや技術を提供しており、コーチがクライアントのニーズや目標に合わせて適切なモデルを選択できるようになっています。
コーチングの目的はクライアントが自分自身の可能性を最大限に引き出し、自分の能力を活用して目標を達成することの支援です。そのためにコーチは課題にあったコーチングモデルやスキルを活用しながらクライアントのサポートしていきます。
コーチングモデルと流派
コーチングモデルは、日本の「道」文化でいう流派のようなものです。
コーチングではどのモデルを使うとしても、どのようなアプローチ方法でも、その根底にある共通項は(傾聴と質問を通して)「その人の内にある答えや可能性・能力を引き出し変化と成長を促すこと」です。しかしコーチングの目的、扱う領域によってアプローチを変えた方が効果的です。
コーチングモデルの活用
コーチングを実施する際に、コーチは1つのモデルだけを使うとは限りません。その目的、状況、相手に合わせて複数モデルを組み合わせながら行います。より多くのモデルやスキルの引き出しがある方が、より質が高く、効果的なコーチングが可能です。
コーチングモデル:主要8選
⑴ インナーゲーム
Inner Game
現代のコーチングのスタートになったと言われている人の能力開発モデル。1970年代に出版された書籍から。自身のメンタルプロセスの変化に注意を向かせることを発見し方法論に落とし込んだものです。

⑵ NLPコーチング
NLP Coaching
NLPを基盤としたコーチング手法。NLPとは、1970年代に開発された「人の思考や行動を変化させるため」のツールや技術を提供する実践心理学です。NLPコーチングでは、クライアントの思考や言語パターンを観察し、認識、言語、行動の変容を促すことを目的としています。

⑶ GROWモデル
GROW Model
目標達成を支援するコーチング・フレームワークの1つ。
- 【G】Goal(目標の設定)
- 【R】Reality(現状の把握)/Resource(資源の確認)
- 【O】Options(選択肢の創出)
- 【W】Will(意志の確認)
の4つから成り、コーチングを受ける人が目標を定義し達成するのに役立ちます。

⑷ コーアクティブ・コーチング
Co-Active Coaching
1992年に創設されたCTI*が伝えるコーチングモデル。コーアクティブ・コーチングには、①哲学となる〈4つの礎〉 ②その要となる〈5つのポイント〉がありそれらをベースに、具体的な技法やツールが用意されている体系的なコーチングモデルの1つです。
*CTI=The Coaches Training Institute

⑸ インテグラル・コーチング
Integral Coaching
1980年代以降に広められた「インテグラル・モデル」の枠組みを活用したコーチング手法。インテグラルとは「完全な・包括的な・バランスの取れた・総合的な」という意味を持ち、4つの視点から〈みる〉ためのサポートを行う。コーチングはインテグラルモデル活用の1つの用途とされています。
*4つの視点=①内的 × ②外的 & ③個人的 × ④集団的

⑹ ポジティブ心理学コーチング
Positive Psychology Coaching
ポジティブ心理学の原則に基づいたコーチングへのアプローチ。ポジティブ心理学は、1998年に創設された「幸福のための心理学」です。それまでの心理学は心の病や障害に焦点を当てていましたが、個人や社会を繁栄・心の健康に焦点を当てるための心理学の一分野として立ち上げられました。

⑺ 行動コーチング
Behavioral Coaching
目標実現や問題解決にあたり、特定の行動を変えることに焦点を当てたコーチングアプローチ。主にビジネスシーンで活用され、継続的に変化していくための新しい行動と習慣の開発を行います。目標志向&行動志向のアプローチ方法です。

⑻ オントロジカル・コーチング
Ontological Coaching
オントロジカルとは「存在論」という意味で、オントロジカル・コーチングは、「行動様式」ではなく「在り方」に焦点を当てたコーチングアプローチ。

まとめ
コーチングモデルをご紹介してきました。
コーチングには多数のモデルがあり、それぞれ異なる手法や理論に基づいているため、目的や状況に応じて自分に合ったアプローチを選ぶ必要があります。
- 具体的な目標があり、それを効果的に実現させるためのコーチングなのか?
- 人間関係などの「関係性」を改善するコミュニケーション能力の開発のためのコーチングなのか?
- キャリアプランや人生プランなどの戦略的な人生設計をする自己理解のためのコーチングなのか?
- 自分らしい人生づくりや幸福感、豊さを基盤としたライフデザインのための自己理解と、自己実現のためのコーチングなのか?
- 使命や人生の意味を考えるなど、自身の精神性と社会性を深めるためのコーチングなのか?
自分が何を解決したいのか?もしくは何を実現したいのか?によって、どのアプローチが最適かは変わります。そのため「コーチングを受けたい」「コーチングを学びたい」という際には例えば上記のリストの中だったら「どれがもっとも目的に近かな…?」と丁寧に考えてみることから始めてみるのがオススメです!