脳のトリセツ

五感

私たちはふだん特に何を考えることもなく、五感を使っています。実はこの五感、あなたが思うよりもずっといろんな場面で活躍してくれています。

五感とは?

私たちは、物事を認識するためにこれら5つの感覚を使っています。五感があるからこそ、目で見て、音や声を聞き、物を触って感触を得ます。香りを嗅いで匂いを感じることもできますし、食を通して味を感じることもできますね。

しかし実は、五感の働きはこれだけではないんです。

人はどんなときに五感を使っているの?

私たちは普段、無意識に五感を2つの場面に使っていることを知っていますか?その2つとは

  • 外側に向かって:情報をインプットするとき
  • 内側に向かって:情報を蓄積・整理/処理するとき

です。

世界を知覚するためには外側に向かって五感を働かせています。

そして同じように、私たちは記憶をい出す時、考える時、想像する時には内側に向かって五感を使っています。

外側に向けて五感を使う

世界で何が起こっているかを知覚しようとする時には、私たちは五感を外側に向けて使っています。

例えば…どこか目的地に向かおうと電車で向かうとき、目的地の電車に乗るために行き先を「目で見て」確認し、「アナウンスを聞いて」電車が来ることを理解して、電車が来たら乗り込みます。「今何が起こっているか?」目の前の出来事、状況についての情報を五感を通して収集して判断・行動していますね。

このようにインプットのために使っている感覚(五感)は次の通りです。

外側に使う感覚(五感)の種類

情報をインプットするために五感が外側に向いている時の感覚は、いわゆる〈五感〉です。

五感働き対象
1視覚見る絵・映像
2聴覚聴く音・言葉
3身体感覚外側で感じる触覚(皮膚で感じるもの)
4味覚味わう
5嗅覚嗅ぐ匂い

〈インプット〉に得意な五感

このようにこのインプットの際、人はそれぞれ異なる五感を使っています。みんな同じではありません。どうして同じ場面にいたのに、そんなに感じ方が違うの?なぜそれを覚えているの⁈そう思ったことはありませんか?その答えは、人それぞれに異なる〈インプット時の五感の使い方〉にありました。

あなたがインプットする時によく使っている五感は何でしょうか?

内側に向けて五感を使う

私たちは思考する時、五感を内側に向けて使っています。例えば何かを思い出す時にも、考える時にも、想像したりする時にも五感をもとに思考しています。このように内側のために使っている感覚(五感)は次の通りです。

内側に使う感覚(五感)の種類

内側に向けて感覚を使うとき、同じ五感ですが「何を感じ取るか?」と言う対象が、外側に向いていた時と異なります。特に〈身体感覚〉の部分です。外側の時は触覚(皮膚感覚)ですが、内側の時は、感情バランス感覚など物理的には接触がないものについて感じる感覚が働きます。

五感働き対象
1視覚見る絵・映像
2聴覚聴く音・言葉
3身体感覚内側で感じる自己受容の感覚
バランス感覚
内臓の感覚など
4味覚味わう
5嗅覚嗅ぐ匂い

内側に五感を使う時の3パターン

内側に五感を使う場面はさまざまありますが、大きく3つに分けて紹介します。

  1. 過去の経験を〈思い出す〉とき
  2. 考える〉とき
  3. 現実には(まだ)ないことを〈想像する〉とき

五感を内側に向けて使う3パターンですが、なんと五感の働き方はすべて異なるのです。

⑴ 〈思い出す〉ときに使う五感

私たちは、今、目の前にないものにも関わらず、それを思い出して「映像」を思い浮かべることができます。今、聞こえるはずないのに、過去に言われた言葉をその時のままに「聞く」ことができます。同じように、今はその場所にいないのに、その時感じた「感覚や感情」を感じることができます。

私たちは〈思い出す〉時、五感のいずれかひとつの感覚をトリガーとして、その記憶を呼び起こします。この呼び起こす五感が何か、人それぞれ異なります

どうして同じ場面にいたのに、そんな細かい物の置き場所を覚えているの?一度聞いただけなのにどうしてすぐリピートできるの⁈過去について話している時に他人の記憶に驚いたことはありませんか?

それはあなたと、他の人の〈思い出し方〉が異なるからです。その答えは〈記憶を呼び起こす時の五感の使い方〉にありました。

あなたの記憶を呼び起こす五感は何でしょうか

⑵ 〈考える〉ときに使う五感

考えごとをするとき「どのように」思考しているか…意識したことはありますか?私たちは〈考える〉時にも五感を使っていて、どの感覚を使っているかは、これもまた人それぞれ異なります

どうしてそんなにパッ!パッ!と回転早くどんどん話を進めていけるの?なぜ話を聞いただけで考えをまとめられるの?話し合いをしている時に、他人の考え方に驚いたことはありませんか?その答えは〈考える時の五感の使い方〉にあります。

「何を考えるか?」という内容ではなく「どのように考えているのか?」という五感の使い方が異なることがポイントです。

あなたが思考する時に使っている五感は何でしょう?

⑶ 〈想像する〉ときに使う五感

未来について〈想像する〉とき

私たちは、まだ起こっていない出来事について「こうだったらいいなぁ!」とか「こうしたい」と未来について想像するときも五感を使っています。人によっては「イメージ/視覚」で浮かぶかもしれませんし、「よくやった!」という「言葉がけ/聴覚」が先に聞こえて想像が膨らむかもしれません。もしくは「こんな感覚を味わえるんだ…」という感情や身体的な感覚が想像できてそれが原動力になるかもしれません。

まだ起こっていないことにも関わらず、私たちはこうやって五感を使って「想像」しています。

現実にはないことを〈創造〉するとき

小説や映画など、現実には起こり得ないことも私たちは創造することができます。この時もどんな風景の中で(視覚)、どんなやり取りをしていて(聴覚)、こんな感情を持つ(身体感覚)お話…というように五感フル活用です!

未来のことを豊かに表現できる人や、現実にはないことを創造し、クリエイティビティを発揮している人に魅力を感じたことがある方は多いかもしれません。彼らは意識的に、もしくは無意識的に五感の鋭敏性をフル活用して創造しています。私たちはこの五感の鋭敏性を、いつからでも高めることができます

あなたはどの五感の、どの感覚を、より研ぎ澄ましいきたいですか?

五感の特徴

私たちみんなに共通すること

五感があるから「考える」ことができる

何かについて「考えている」とき、それは意識的であれ、無意識的であれ、その時の光景や音、感触・感覚の五感を内側で思い浮かべています。五感があるからこそ考えることができ、何かを思い出し、創造することができるんですね!

感覚はミックスされて使われている

どの場面でも五感は豊かにミックスされて使われています。特定の場面においては優先的に使われている五感はありますがそれは1つだけが使われているということではありません。

感覚の中にはより敏感なものがある

五感の中には他のものより発達していて外の世界に対してより敏感なものがあります。

2つ同時に注意を向けるのは難しい

誰でも五感を通して、外側・内側に同時に、同じだけの注意を向けることは困難です。外に意識が向いている時には、内への意識は薄れます。内側に意識が向いている時には外への注意力が散漫になります。

「集中していて(内側)外が暗くなっている(外側)ことにまったく気が付かなかった!」ということや、「周りに気を使いすぎて(外側)自分の体調変化(内側)無関心だった…」なんて経験があるかもしれません。常に、その瞬間、瞬間、私たちの五感は外・内、いずれか1つのことに意識が向けられます

内側の体験はリアル経験と同じ物理的効果を及ぼす

私たちはリアルに経験をする時にも、内側に経験を再現させる(思い出す、考える、想像する)ときも、同じ神経経路を用いています。

梅干しを見ると、食べていないのに唾液が出るのは、直接食べていないにも関わらず、脳が食べた時のことを〈思い出して〉食べたと勘違いして身体が反応している状態です。

つまり実際に起こっていないことでも「考えた」「思い出した」「想像した」ことはそのままあなたに物理的な効果、影響を与えます。心と身体は繋がり相互に影響を及ぼし合1つのシステムです。

思考は、直接経験しているのと同じ物理的効果を与えます。そのため内面での思考に自覚的であることとても大切です。

人それぞれ異なること

〈インプット〉する時の好みの五感は異なる

インプット時、五感自動的に働いています。どの感覚が使われているかを知り、活かすことは、上質な情報を、早く、効率的に、そして楽に取り入れることを可能にしてくれます!(ンプットの仕組み

〈考える時〉に使っている五感も異なる

考える時に使っている五感が何かも、人によって違います。自分の優位感覚を理解することは、あなたにとって楽に思考力を伸ばす方法を教えてくれます。またこれまで苦手だったことだとしても、スムーズに取り組むことも可能にしてくれます。(優先的に使っている五

〈記憶を思い出す時〉に使われている五感は異なる

記憶を呼び起こす時に使っている五感も、人によって異なります。記憶はインプットした情報の記録です。インプット感覚の鋭敏性を高めることで、記憶に関する五感の使い方もより豊かにしていくことができます。(記憶を呼び起こす五感

正しい感覚の使い方は存在しない

正しい思考の仕方や、正しい五感の使い方は存在しません。

  • 誰にでも共通している五感の働き
  • 個々人異なる五感の使い方

を理解することが大切なのは、あなたの目的や、どんな体験をしたいか?によって五感の使い方をいくらでも工夫し活用することができるからです。

クリエイティビティは五感の柔軟性から生まれる

クリエイティビティ(創造性)は、これらの感覚を、より豊かに、柔軟に使うことで生まれます。具体的には

  • 視覚・聴覚・身体感覚・嗅覚・味覚すべての感覚の鋭敏性をより高める
  • それぞれの感覚の移行をスムーズにできるよう柔軟性を高める

という2つのことがポイントです。

*五感の鋭敏性の高め方・柔軟性の高め方の具体的な方法についても、今後順次追加していきます!

まとめ

私たちは五感を

  • 外側:情報をインプットする
  • 内側:情報を蓄積・整理/処理する

両方に向けて使っていることを紹介してきました。

さらに内側に使う時には

  • 考える
  • 思い出す
  • 想像/創造する

とき、人それぞれ五感の使い方は異なることもお伝えしてきました。

五感を使う2つの場面(外側/内側)その目的をまとめるとこのような形になります。

外側(Externally)内側(Internally)
目的外の情報をインプットする内側で①思い出す②考える③想像する
視覚(V)外から見える(Ve)
・絵、イメージ
・映像
内部で見る(Vi)
・絵、イメージ
・映像
聴覚(A)外から聞こえる(Ae)
・音
・言葉
内部で聞く(Ai)
・音
・言葉
身体感覚(K)物理的に感じる(Ke)
・触覚
・感触
内部で感じる身体に関する気づき(Ki)
・記憶された触覚
・バランス感覚
・体感
・感情などの身体の感覚
嗅覚(0)外から感じる匂い内部で感じる匂い
・記憶された匂い
・想像/創造した匂い
味覚(G)食べ物を味わう内部で感じる
・記憶された味
・想像/創造した味

五感の働きからわかる特に大切なことは

  1. 思考は直接経験しているのと同じ物理的効果を与える。思考に自覚的であることが重要
  2. 人により五感の使い方は異なるので、自分について知ることが大切
  3. 五感の使い方・鋭敏性はいつからでも高められる
  4. 意識は常に1つに向けられる

ということです。この五感の特徴を活かすことは、私たちにより豊かで、より柔軟な体験をすることを可能にしてくれます。