五感は外に向かって、内に向かってと使われている。今回紹介するのは外からの刺激が、内側の刺激と結びつくという五感の働きをです。
感覚を〈一緒に〉感じるときの仕組み
ひとつの感覚が他の感覚と繋がっている
私たちの五感は外側と内側と両面に向けて使われています。(詳しくはこちら)多くの場合はどちらかに向けて使われていることがほとんどですが、2つ以上の五感が一緒に働くことがあります。
このように2つ以上の五感を一緒に感じることを共感覚と言います。
共感覚の種類
共感覚とひとえにいっても大きく3つに分けることができそうです。
- 共感覚者
- 誰もが経験する共感覚
- 社会的な共感覚
共感覚者
多くの人が持たない結合された感覚を〈主観的〉に感じる共感覚が存在します。人によっては外部感覚の体験が他の感覚と交錯していることもあれば、感覚が重なっていることもあるそうです。
例えば…「形を味わう」共感覚を持っている方は、とてもリアルに形を味わう体験をしています。(それにカロリーや栄養は含まれていませんが!)色聴/サウンドカラー共感覚の人は、音を聞くと色を感じます。これらのとてもリアルな共感覚体験をする〈共感覚〉について20世紀に入り研究が進められています。
誰もが経験する共感覚
共感覚者の方のようなリアルな体験感覚まで行かずとも、私たちは誰もが共感覚体験をしています。
香りを嗅ぐと同時に過去のある場面が浮かぶ。自然を見ると身体がリラックスする。不快な音を聞くと鳥肌が立つ、など…2つ以上の感覚を同時に感じる共感覚体験をしています。
社会的な共感覚
文化・環境・社会的に複数の感覚を結びつける比喩的表現が広く存在しています。それらは言語やメタファー(隠喩)として2つ以上の感覚を結びつけています。
色彩と気分(視覚&身体感覚)
- 赤=怒りや温かさ
- 青=静けさや涼しさ
- 黄色=明るさや元気
色彩と音(視覚&聴覚)
- 黄色い声援
ここでは〈異なる感覚の間の、直接的で無意識な結合〉を総称して共感覚としてご紹介しています。
共感覚の特徴
共感覚には2つの特徴があります。
- 感覚の結合は自動的に生じている
- 順番に、ではなく同時に起こる
- 身体感覚的で共感覚が起きやすい
感覚の結合は自動的に生じている
感覚の結合は無意識に自動的に生じています。そのため意図的に止めることはできません。
順番に、ではなく同時に起こる
私たちはふだん五感をそれぞれ別の感覚として感じます。共感覚は、共に感覚が起こるという言葉の通り、ふたつ以上の感覚を同時に感じています。
身体感覚的で共感覚が起きやすい
共感覚の結果だけが身体感覚として現れることは、よくあることと言われています。ある写真が目に入ると同時に感情が動く。大声が耳に入った途端、汗が出る、など。その場合、他の共感覚が何かには気づかず、結果として生じる感情や生理的反応にだけ気がついているということがあります。
共感覚の実例
イメージから香りが生まれる
ある友人はイメージ(視覚)から香り(嗅覚)を生み出します。彼女は視覚&嗅覚の結びつきを使ってクリエイティビティを発揮しています。
話からイメージが浮かぶ
私はセッションの際に話を聞いている(聴覚)とイメージ(視覚)が浮かびます。イメージの中にある絡まっている部分を見つけ、そこに言葉を投げ、それが解けていく映像を見ながら問題解決のサポートをすることがあります。聴覚&視覚の結びつきが役に立っています。
共感覚の活用方法
共感覚を活かして学ぶ
何かを学ぶとき、いずれか1つの感覚だけを使うよりも同時に複数の感覚を使って学ぶ方が効果的なことがあります。
- 視覚と聴覚:その人の顔に〈名前シール〉が貼り付けてあることを想像して覚える
- 聴覚と身体感覚:音楽を聴きながらダンスを踊り身体に染み込ませる
- 身体感覚と視覚:ピアノを弾いている時に、その手の動きも一緒に見ながら覚える
共感覚を活かしてクリエイションをする
- 視覚と聴覚:音楽を奏でるように花を生ける
- 聴覚と身体感覚:身体でリズムを刻みながら文章を書く
- 身体感覚と視覚:イメージしたものを香りで表現する
まとめ
異なる感覚間の直接的で無意識な結合を総称し共感覚として、3つの種類と、特徴についてご紹介してきました。
私自身〈共感覚者〉ではありませんが、多くの人にも起こっているであろう共感覚体験に自覚的になることで、もともと持っていた自身の感覚を使いやすくなった実感がありました。
2つ以上の感覚の結びつきは、他の誰の目にも確認されることがないので自分で意識を向け、気づきを広げていく必要があります。この記事が、新しく自身を探求するきっかけや新しい気づきに繋がったらうれしいです。