用語

アンカリング | Anchoring

アンカーとは、ある特定の「反応」や「状態」を引き起こす引き金となる刺激のこと

アンカリングとは、アンカー(外的な刺激)と、内的な反応(心理的反応)を繋げることをいいます。アンカーによって、一貫した反応(身体的・心理的状態)を意図的に引き起こす方法です。状態を変えるスイッチのようなもので、アンカリングを活用することによって、スイッチを〈オン・オフ〉するように、望んだ心理的状態に切り替えることができるようになります。

名称アンカー
意味反応を引き起こす引き金となる〈刺激〉のこと
英語Anchor
Anchor=(船を固定する)いかり

アンカーとは?

私たちの生活はアンカーだらけです。

  • 赤信号になると、無意識でも止まる
  • 好きな音楽を聴くと、ワクワクしてくる
  • コーヒーの匂いを嗅ぐとホッとする

こういった「考えずに反応している」とき、私たちは何らかのアンカー(反応を引き起こす引き金)の影響を受けています。アンカーの作用はあまりにも早すぎて、自分自身も気づかないうちに反応していることも多々あります。アンカーは、習慣を築き、無意識で行動&反応することができるように学びを助けてくれる役割があります。

アンカーの種類

五感でキャッチした外的刺激はすべてアンカーとなりえます。

  • 視覚的アンカー(ex.特定の手の動き、笑顔、広告)
  • 聴覚的アンカー(ex.自分の名前、好きな音楽、学校のチャイム、最寄駅の音)
  • 言語的アンカー(ex.言葉を聞いてイメージが浮かぶ)
  • 身体的アンカー(ex.肩に手を置く、ジェスチャー、湯船、肌触りのいい生地)
  • 嗅覚的アンカー(ex.匂い、香水の香り、雨の日の匂い、コーヒーの匂い)
  • 味覚的アンカー(ex.おふくろの味、行きつけの店の味)

人によってどの五感からの刺激が、アンカーとなるかは異なります。

アンカーとその反応

アンカー刺激は以下の2パターンがあります。

  1. 〈行動〉を引き起こす刺激
  2. 〈感情〉の状態を変える刺激

⑴〈アンカー〉と行動反応

行動を引き起こすアンカーは、私たちの周りに溢れています。

  • 最寄駅を降りたら、考え事をしながらでも家まで辿り着ける
  • 目の前の人が物を落としたら、ふと屈む
  • ボールが飛んできたら、身体を避ける

⑵〈アンカー〉と感情反応

感情の状態を変えるアンカーには大きく3つのパターンがあります。

  • ポジティブなアンカー(ex. 好きな音楽が、楽しい思い出を呼び起こす)
  • ニュートラルなアンカー(ex. 赤信号が目に入ると、止まる)
  • ネガティブなアンカー(ex. 試験と聞くと、気が重くなる)

どんな刺激が、どんな反応に結びついているか?を理解することが大切です。

*アンカーにおいて重要なのは、アンカーがかかっていることに気づかない限り、一旦設定されるとそのままずっと作用し続けるということです。逆にアンカーに気づくことにより、設定されたアンカーに対する反応を選び直すこともできます。

アンカーと感情的自由

アンカーは「行動」の引き金になっているだけでなく「状態」の引き金にもなっています。見るもの、聞くもの、感じるもの、味わうもの、あるいは匂うものが、一貫してあなたの状態を変えるとき、それはアンカーがかかっていると言えます。

  • 会議の席に着くと、心臓がバクバクして緊張する
  • 好きな香りを嗅ぐと、呼吸が深くなってリラックスできる
  • 湯船に浸かると、身体がゆるむ など。

感情は状態と密接に結びついています。そのため

  1. 自分の持っているアンカーに気づく
  2. 自分を、望ましい状態に導くものだけに反応する

ということを練習していくことで、自分の感情状態と上手に付き合っていくことができるようになります。

アンカリングとは?

外的な刺激(アンカー)を内的な反応に連合させることを「アンカリング」と言います。アンカーによって、一貫した反応(身体的・心理的状態)を意図的に引き起こす方法です。

アンカリングを活用することによって、スイッチを〈オン・オフ〉するように、望んだ心理的状態に切り替えることができるようになります。

アンカリングの目的

誰もがさまざまなアンカーを持っています。アンカーがあることによって、迅速に反応、行動できていることも多々あるはずですが、その逆に望ましくない反応・行動を引き起こしている過去のアンカーも存在しているかもしれません。アンカーは、良くも悪くも自身の状態を変えるために活用されています。

アンカリングの活用

アンカーとアンカリングの仕組みを理解すると

  • 意図的に、アンカーを設定する
  • 意図的に、過去のアンカーから自由になる

ことも可能になります。すると効果的に自身の状態を切り替えられるようになります。

逆に、望ましくない反応を引き起こしているアンカーに無自覚な場合、いつまでも外からの刺激に自分の状態をコントロールされ続けてしまいます。何がアンカーになっているかを見つけ出すことができれば、状態を選び直すことができます

アンカリングで身につく能力

  • 意図的に状態を変化させる力
  • ON/OFFを切り替える力
  • 状態の選択力
  • 感情的自由
  • リソースフルな状態になる力
  • アソシエイト力/第1ポジション
  • 過去のアンカーに気づく力(観察力)

アンカリングの設定

アンカーの設定条件としてアンカーが設定されるのは

  1. 1回の強烈な体験か
  2. 繰り返し刺激と反応が繰り返されることによる体験

のどちらかです。いずれにしてもアンカーが設定されるポイントは〈感情〉です。

⑴アンカーと成功体験⇄トラウマ

アンカーは、1つの強烈な感情体験により設定されることがあります。これがネガティブな体験で設定された場合にトラウマや恐怖症の始まりとなり、ポジティブな体験に設定された場合には成功体験やその後の原動力となる原体験となります。設定される仕組みはどちらも同じです。

アンカーの特徴の1つとして、一旦設定されたものはそのままだと、設定された通りに作用し続けますが、アンカーに気付き、それに対する反応を選び直すことで反応・状態変化を変えることができます。

またアンカーは意図的に設定する=スイッチを設定することができるように、不必要なスイッチをオフにする方法もあります。

⑵アンカーと習慣化

アンカーは、関連している感情がそれほど強烈ではなくても、繰り返し行われることで設定されます。これが私たちが意図的にも行う習慣化です。

アンカリングが発生する状況

アンカーは自然に設定されていることもあれば、意図的に設定する(ex.習慣化)こともできます。

  1. 日々の生活の中で偶発的に起こる(生活習慣)
  2. 意図的に設定する(継続して身につける習慣)

習慣とは、ある刺激に対して無意識でゴールまで辿り着ける(行動する)ようにすることで楽に物事に取り組む秘訣でもあります。

〈アンカー〉が偶発的に設定される

アンカーは普段の生活の中で、偶発的に設定されていることがほとんどです。

  • 赤信号を見たら、止まるなど。

〈アンカー〉を意図的に設定する

アンカーを意図的に設定することも可能です。

  • フラットな状態になれるアンカーを設定する(コラプス・アンカー)
  • ネガティブな状態を、ポジティブな状態に変えるアンカーを設定する(チェイニング・アンカー)
  • リソースフルな状態にするアンカーを設定する(リソース・アンカー)
  • よりパワフルな状態への切り替えアンカーを設定する(スタッキング・アンカー)

関連キーワード

ワーク

  • サークルオブエクセレンス
  • コラプスアンカー
  • スタッキングアンカー
  • リソースアンカー
  • チェイニングアンカー

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