用語

スコトーマ | Scotoma

スコトーマとは、心理的盲点のこと。

名称スコトーマ
意味心理的盲点のこと。
英語Scotoma
暗点。盲点。

スコトーマとは

スコトーマとは、心理的盲点のことで、人にはその人それぞれの心理的な盲点があり、認識できない情報があることをと言います。元々は目の視野に一時的、または持続的な盲点が生じる症状のことを指す言葉でしたが、それが心理学的な意味に転用されました。

人が、ある特定の情報を無意識で認識しないようにするのは、

  • 外界にある膨大な情報をある程度省略することで、理解しやすくする(情報のフィルタリング)
  • 自分の考えや価値観にそぐわない物は、重要ではないものとして意識にあげない(アイデンティティ価値観・信念
  • 認識することによって不安、痛み、不快感などの感情的な反応を引き起こすことはあらかじめ避けるアンカー

など、社会生活をスムーズにするためであったり、自分の存在を守るためです。

スコトーマの特徴

  1. 無意識レベルで働いている:無意識的に働いているため自覚するのが難しい場合がほとんどです。
  2. スコトーマがない人はいない:スコトーマは悪いものではなく、人が持つ働きの1つで誰もがいつでも何かしら持っています。
  3. 働き自体にいい/悪いはない:スコトーマの働きがあることによって助かっている面もあれば、その働きによって弊害が生まれていることもあります。どんなスコトーマを持っているかを、知ろうとする姿勢が重要です。
  4. フィルター機能を果たす:無意識に情報を省くフィルターの働きをします。普段からこのスコトーマが働いているものだということを理解しておくと、齟齬やすれ違いを減らすことができます。
  5. 自己理解を困難にする:スコトーマがあるといくら他人からフィードバックをもらっても認識できないもの=ないものとして認識してしまいます。否定的な考えを持っている場合、自分の強みや魅力に気づくことが難しくなります。
  6. 客観的に物事を見ることを困難にする:スコトーマがあることで情報が圧倒的に少なることがあります。すると冷静な判断や、効果的な選択をするのが難しくなります。客観的に事実を見ること、情報を丁寧に確認することが大切です。
  7. 信念・価値観に影響を与える:自分の考えや価値観にそぐわない物は、重要ではないものとして意識にあげないため、その考えを自動的に強化することになります。(ex.「私は不器用だ」と信じている場合、スコトーマの影響によりうまくできたことがあってもそれは盲点となり、うまく行かなかったことが認識されやすいということが起こります。)
  8. 一度持ったスコトーマは自動強化される:一度スコトーマになった情報、スポット、領域、考えについては無意識になるため自覚するのが困難です。さらに、無意識にも関わらずある条件下では必ず発動するため、対処しない限り強化され続ける可能性があります。誤った信念や偏見がないか、定期的にチェックする仕組みを持つことが重要です。

スコトーマの種類

  1. 情報処理のスコトーマ:情報を処理する上で、ある特定の要素が欠落してしまう状態を指します。外界からの情報をインプットするにも、個々人による五感の使い方の癖により偏りが生まれます。(五感による情報フィルタリング
  2. 認知のスコトーマ:情報をインプットし内面で物事を理解するとき、私たちはこれまでの経験や、自分の価値観・信念・セルフイメージ・興味関心・必要性に照らし合わせます。それらにそぐわない情報についてはスコトーマがかかり無意識的に認識しないということが起こります。(内的フィルタリング
  3. 感情のスコトーマ:過去の強烈な感情体験を引き金に、特定の感情を感じ取らなくていいようにスコトーマがかかっていることがあります。ある情報や刺激を引き金に、ネガティブな感情や感覚を引き起こす可能性がある場合、自分を守るためにそれに関する情報を認識しない状態です。(アンカリング

スコトーマの活用方法

心理的な盲点があることで、楽になる部分もあれば、悩みや苦悩を引き起こす原因にもなりえます。スコトーマの特徴を理解して積極的に活かす方法と、不要なスコトーマを外す方法の両方を知っておくことが重要です。

不要なスコトーマを外す方法

スコトーマに無自覚なままだと認知の歪みや、誤った固定概念を持つことに繋がります。それらは自己制限的な思考を引き起こすことがあるため、外し方を知っておくことは重要です。

  • 自己理解を深める:自分の信念、価値観、アイデンティティ、思い込み、偏見を客観的に見つめ直すことで、認知の歪みや自己制限を取り除くことができます。
  • 新しい知識や情報を取り入れる:自分以外の考え方、視点、アプローチ、信念価値観を知ることで盲点になっていた部分に気づくことができます。
  • 思考パターンを知る:認知の歪みや思考パターンを客観的に認識し、その上で新たな視点を取り入れることが大切になります。
  • 他者とのコミュニケーションを活用する:他者の意見や考え方に対して耳を傾け、それを受け入れる姿勢を持つことで、自分の視野を広げることができます。
  • 新しいことにチャレンジする:スコトーマを外す上で重要です。新しい経験や学びを通じて、自分自身の思考や行動に新たな刺激を与えることができます。自分自身を新しい環境や人との出会いに積極的に引き出し、スコトーマを外していくことが大切です。
  • コーチング:専門家によるサポートを受けることで自己理解を深める中で、効果的にスコトーマを発見し、外すことができます。

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  • RAS/ラス (脳幹網様体賦活系/のうかんもうようたいふかつけい):Reticular Activating System
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