(心理学における)状態とは、ある瞬間の人の〈在り方〉のこと。思考&感情&身体感覚の総和。
状態がよい時、私たちは合理的に思考しやすくなったり、冷静な判断ができたり、本来のパフォーマンスを発揮できたりします。逆に状態が不安定であったりよくないとき、本来の能力やパフォーマンスを発揮しにくくなります。
状態は、いかなる状況においてもパフォーマンスに重要な影響を及ぼします。
名称 | 状態 |
意味 | ある瞬間のその人の在り方(思考&感情&身体感覚の総和) |
英語 | State |
訳 | State=状態・ありさま・様子 |
状態とは?
状態とは、楽しい状態、悲しい状態、モチベートされた状態…などと表現されるようにある瞬間の人の在り方のことを言います。この状態は、思考、感情、感覚の相互作用によって生じています。
状態とは「3つ」の総和
状態とは
- 【a】思考(捉え方・考え方:どう考えているか)=認知の状態
- 【b】精神的感覚(感情:どんな感情や気持ちを抱いているか)=情緒や気持ちの状態
- 【c】身体的感覚(生理作用や行動:身体的にどう感じているか)=身体の状態
それぞれが相互に影響しあってうまれる「その人のその瞬間の在り方」です。
状態の前提
状態は変わり続けるもの
状態は絶え間なく変化し続けています。それが自然なことで、私たちはひとつの状態に長く留まっていることはできません。いい状態と、悪い状態を覚えている傾向にありますが、本来はその間を揺れ続けています。そのため「常にいい状態」でい続けることはできません。逆に「ずっと悪い状態」のままいることもありません。
状態は重なり合っている
状態は「白」「黒」というようなはっきりと分けられるものではなく1つの状態は他の状態と重なり合っています。
状態でパフォーマンスが変わる
冷静であればあるほど合理的に思考しやすくなるし、興奮状態であればあるほど思考は遮られ、感情的なエネルギーが増します。この状態とどう付き合っていくかは、自分自身の能力やパフォーマンスの発揮に大きく影響しています。
冷静であればいい、情熱的であればいい、と言うことよりも、そのどちらの状態も自然と表現できるように、また自分自身と調和して付き合っていけるかどうかた大切になってきます。
状態は選ぶことができる、変えることができる
自分の状態は選ぶことができます。ある状態から異なる状態へと変化させることも可能です。つまり私たちは「自分の状態はマネージメントすることができる」ということです。また場面や環境、状況においてさまざまな状態を使い分けることもできます。自身にとってよい状態を見極め、そのエッセンスを抽出して、トレーニングをすることで必要な時に活用することもできます。つまりは卓越した状態を必要な時に呼び起こし、最適なパフォーマンスを発揮する、ということを意図的に行うことができるのです。
状態は思考・感情・感覚に影響する
状態に影響を及ぼす思考・感情・感覚のいずれかに変化を起こせば状態は変わります。これらは相互に影響を与え合っているため、パフォーマンスを変えたければいずれかを変える必要があります。
状態の例
- リソースフルな状態
- リラックスしている状態
- 楽しい状態
- モチベートされた状態
- 集中している状態
- 安心した状態
- 安定した状態
- 落ち込んでいる状態
- 不安な状態
- 悲しい状態
- 焦っている状態
- 忙しい状態
- 無気力な状態
- 注意力散漫な状態
状態の種類
状態は思考・精神的感覚・身体的感覚の3つの総和によって現れるもののため「状態」を表す際にはそれらがミックスされて使われています。
- 【a】思考(捉え方・考え方:どう考えているか)=認知の状態
- 【b】精神的感覚(感情:どんな感情や気持ちを抱いているか)=情緒や気持ちの状態
- 【c】身体的感覚(生理作用や行動:身体的にどう感じているか)=身体の状態
【a】認知の状態
注意、記憶、意識などの認知プロセスの状態
【b】情緒や気持ちの状態
幸福、悲しみ、不安な状態など
【c】身体の状態
緊張状態、興奮状態、リラックス状態など
状態のパターン
私たちは普段、さまざまな状態を経験しています。その中でも基本となる状態3つを挙げます。
- 基準の状態
- リソースフルな状態
- メタ心理状態
⑴ 基準の状態
基準の状態とは、自分にとってもっとも馴染みがあり、居やすい状態のことです。
私たちはひとりひとり基準となる〈状態〉があります。それはデフォルトモードのようなものです。ただし、「馴染みがある状態」=「もっとも心地よくパワフルな状態」であるとは限りません。ただ親しみがあって居やすいというだけかも知れません。その場合は、状態の基準をよりよいものに選択し直すことができます。→状態の基準の確立ワークへ
⑵ リソースフルな状態
リソースフルな状態とは身体的にも精神的にもパワフルで、心身ともに満ち溢れているように感じる状態のことをいいます。リソースフルとは「資源に溢れた」という意味です。
⑶ メタ心理状態
メタ心理状態とは、自身の状態について「どう感じているか?」のこと。
よくあるのがネガティブな状態について、さらにネガティブなメタ心理状態(感情)をつくりあげてしまうと、ネガティブループにはまってしまいます。(詳しくはメタ心理状態)
状態を変える方法
状態は変えることができます。そのコツは2つです。
- ブレイク・ステート
- ステート・マネジメント
⑴ ブレイク・ステート
集中して仕事をしている時にふいに「ねぇ!」と呼びかけられたら、集中状態から抜けますよね。このようにある状態に区切りをつけることをブレイク・ステートと言います。
⑵ ステート・マネジメント
ステートマネジメントとは、状態を意図的に変えることを言います。「状態は変えられない」と思い込んでいたらもったいない!状態を変える手法を理解することで、望ましい状態へシフトさせることが可能です。
関連キーワード
関連ワーク
- 表象システム
- 指人形アンカリング&パートワーク(状況によってキャラを使い分ける)
- エクセレントサークル
- モデリング
- 状態の基準の確立ワーク
- ブレイク・ステート
関連キーワード
- 基準の状態
- リソースフルな状態
- 内的(心理)状態
- メタ(心理)状態
- ブレイク・ステート
- ステート・マネジメント
- コミュニケーションモデル
- 変化モデル
- 分離体験⇄実体験
- 知覚位置(第一、第二、第三、第四)