実践

やりたいのに動けない理由と対処法|本音を取り戻すアンチタグリストの作り方

「やりたいのに、なぜか動けない。」
「気づけば、不快なことや違和感にすっかり慣れてしまっている。」
「自分が本当はどう感じているのか、よく分からなくなってきている。」

そう感じたことはありませんか?

不快や違和感は、繰り返されるほど脳が「いつものこと」として処理してしまい、いつの間にか感じなくなっていくものです。

気づかないうちに、自分の感覚が少しずつ鈍っていく─それが「やりたいのに動けない」状態の正体だったりします。

今回は、自分の取扱説明書づくり(マイトリセツ)の1テーマである「感覚のメンテナンス:アンチタグリスト編」について、ワークの考え方や進め方、実際の開催で見えてきた気づきをまとめました。

アンチタグリスト・ワークとは?

アンチタグとは「自分の人生において不要な情報や避けたいこと」に付ける目印のこと。これまでの経験から、自分には取り入れたくないものを明確にし、無意識に我慢していることや嫌なことを言語化していくワークです。

「不快」や「負の感情」にあえて焦点を当てて書き出すアクションは、感情や思考のデトックスになります。嫌だったことが明確になることで、結果として本当に必要なものが浮かび上がり、日々の決断や選択が楽になっていきます。

アンチタグは感覚のメンテナンス

人は、繰り返される不快に”慣れてしまう”生き物です。

最初は嫌だったことでも、だんだんと慣れ、やがて感覚が鈍くなり、最終的には「嫌だ」を認識できなくなっていきます。

小さな不快、違和感、我慢、ストレス、無理が続くと、脳はそれを「危険ではない」「いつものこと」として処理し始めます。

だからこそ「嫌だった」を定期的に思い出してあげることが、自分の感覚を守ることにつながります。アンチタグリストは、ネガティブ思考になるためのものではなく、鈍ってしまった「感覚を取り戻す作業」とも言えるワークです。

すべての感情には教えてくれるものがある

不満、不快感、不機嫌、嫌悪感、嫌な感覚、ネガティブな感情──。これらは「嫌なものだ」と感じて避けたくなりますが、実はどの感情にも、私たちに教えてくれるものがあります。

  • 不満 → 満足の基準がある
  • 不快感 → 快感がある
  • 呆れる → 期待がある
  • 嫌悪感 → 好意を抱くものがある
  • 怒り → 守りたいもの・許せないラインがある
  • 悲しい → 大切にしたいものがある
  • モヤモヤ → 本音がある

なんでも、表裏一体。自分がネガティブと思うことには、その逆、自分にとってのポジティブな定義や基準、感覚があるということ。だからネガティブな感情・感覚を「消すもの」にするか「読み解き活用するもの」にするかで、日々の質は変わっていきます

アンチタグからは「本音」が見えてくる

脳には「不快」を無意識に抑圧しようとする防衛反応があります

強いストレスや矛盾が続くと、脳は「感じないようにする」「考えないようにする」「麻痺させる」ことで日常を維持しようとするからです。

本当は嫌なのに笑う、疲れているのに「大丈夫」と言う、無理している感覚が分からなくなる─これは”弱い”のではなく、脳の正常な防衛機能です。

ただ、この防衛が長期化すると「本音」が分からなくなっていきます。

だからアンチタグは「本当はどう感じていた?」を回収するアクションでもあります。「嫌だ」を言葉にするだけで、脳は整理を始めます。モヤモヤを見える化することで、「本当はどうしたい?」が見えやすくなっていきます。

こんな時におすすめ

  • やりたいのに、なぜか動けない感覚があるとき
  • なんとなく日常に違和感や疲れを感じているとき
  • 自分が何を望んでいるのか、よく分からなくなっているとき
  • 「好きなこと」「やりたいこと」を探しても見つからないとき
  • 我慢が当たり前になっていると感じるとき

「自分の本音を取り戻したい」と感じたときに、特におすすめのワークです。

アンチタグリストワークで得られること

このワークを通して、次のようなことが見えやすくなります。

  • 無意識に我慢していたことが、はっきりと見えてくる
  • 「これはもうやめていい」という許可が、自分の中に生まれる
  • 感情や思考のデトックスが起こり、頭がすっきりする
  • 「好き」より先に「嫌」が見えるという脳の特徴を、自分の味方にできる
  • 日々の決断や選択の負荷が減っていく
  • 自分だけの「除外条件リスト」が、これからの選択の指針になる

「嫌なことを書き出す」という一見ネガティブな作業が、自分の感覚を取り戻し、人生の選び方を変える起点になっていきます。

ワークのやり方

STEP1|書き出してみよう

自分の「嫌いなこと」「やりたくないこと」「苦手なこと」を、思いつくまま単語で書き出していきます。

人生の8つのエリア(キャリア・仕事、人間関係、心身の健康など)」をヒントに、「不快だな〜」「嫌だ〜」と思うことを探してみるのもおすすめです。

文章ではなく、単語でOK。最初はカテゴリー分けをきっちりやろうとせず、ざっくりとで構いません。「こんな些細なこと…」「ありきたりじゃん」と思うようなことも気にせず、全部書いてみてください。

STEP2|眺めてみよう

出した言葉を並べてみて、似たもの同士をグループ分けしたり、共通するテーマを見つけていきます。

書き出したアンチタグを「自分でどうしようもない(変えられない)もの」と「自分の選択や決断で変えられるもの」に分類して整理するのも効果的です。

STEP3|次の一歩を決めてみよう

整理したアンチタグを見て、「これからやめる選択」をつくったり、「問題を回避・対処する方法」を考えたりして、自分の変化したい方向へ行動を調整していきます。

参加者のご感想

今回ワークを経て、こんな声をいただきました。

  • 「嫌い!」を言語化するだけで、思考がすっきりする感覚がありました。ネタにして笑い飛ばすだけでも、気持ちが軽くなりますね。
  • アンチのアンテナがなぜこんなに敏感なのか、自分でも不思議だったんですが、それだけ人って危機回避能力が高いってことなんだなと納得できました。
  • 「こういう人って嫌だな」と考えるとアンチタグが出てきました。「モノ」や「コト」よりも「人」に反応することが多いのかもしれない、という発見がありました。
  • 「感情に言葉のラベルをつけて整理する」なんという画期的な発想!と思いました
  • 自分の本音に気づいてしまったらどうしよう…という不安は案外「あ〜嫌いかも!」で処理終了!でした。
  • やはりすべてが自分を作る要素…どんな場面でもチューニングが必要だということを実感しました。

参加者同士でアンチタグをシェアしていただくと、「嫌だ!と感じる方向性が本当に違う!」「人それぞれまったく違うものが出てくる」という声が自然と飛び交いました。

〈嫌なこと〉も人それぞれ。だからこそ、自分のアンチタグを言葉にしていくことが、自分の輪郭をはっきりさせる作業になるのだと、改めて感じる時間でした。

今回の開催で見えてきたこと

「やりたいのに、なぜか動けない」とき、それは実は「やりたくないから」かもしれない─。

私たちの脳は、最初は「イヤだ!不快!」と思ったことでも、何度もそれが繰り返されると、無意識に「自分を守ろう」「順応しよう」と働きます。これは脳の正常な機能ですが、放っておくと「本当はどう感じていたか」が見えなくなっていきます。

だからこそ、年に最低一度は!自分の不満・不快・不安など、「イヤ〜〜〜!!」って感覚を棚卸しする機会を持つことは大切です。

頭で「やりたい」と思っていることでも、身体や感覚レベルで「実はやりたくない」が起きているとき、人は動けません。そのギャップを埋めるには、まず「私は本当はどう感じていた?」を取り戻すこと。嫌なものを「嫌だ」と認識すること。その後にはじめて「じゃどうする?」と対処法を考えることができます。

このシンプルな順序こそが、自分の人生を選び直す最初の一歩になるのだと、改めて実感させてもらった時間でした。

よくある質問

Q. 嫌なことばかり書き出すと、ネガティブになりませんか?

そう感じる方は多いです。でも、このワークが目指しているのは「ネガティブ思考になること」ではなく「感覚を取り戻すこと」。むしろ、無意識に押さえつけていた感覚を言葉にすると、感情の過剰反応を落ち着かせることができ、整理や判断する状態になりやすくなります。「モヤモヤを言葉にする」だけで、脳は整理を始めます。

Q. 本音に気づくのが少し怖い気もします。

その感覚、とても自然です。多くの場合、本当に怖いのは「本音そのもの」ではなく、本音に気づいたあとに何かが変わってしまいそうなこと。人間関係、今までの選択、我慢してきたことではないでしょうか。でも、本音に気づくことと、すぐに全部を変えることは別です。まずは「私は本当はどう感じていた?」を取り戻すこと。それだけで十分、最初の一歩になります。

Q. 一人でもできますか?グループで行う意味はありますか?

ワーク自体は一人でも取り組めます。ただ、グループで行うよさは、人それぞれアンチタグフィルターが本当に違うと体感できること。「自分が嫌だと思っていたことも、他の人から見るとそうでもないんだ」「逆に、自分が普通だと思っていたことを、他の人は嫌だと感じるんだ」という発見が、一人では得られない視点をもたらしてくれます。

Q. ワークは一度やれば終わりですか?

いいえ、定期的に見直すワークです。脳は「慣れる」生き物なので、一度棚卸ししても、また新しい「嫌だ」が積み重なっていきます。定期的に見直すことで、自分の感覚を鈍らせないでいられます。「年に最低一度は棚卸しする」がおすすめです。

まとめ

「嫌なこと」「やりたくないこと」「苦手なこと」──。

これらを言葉にしていくことは、ネガティブな作業ではなく「自分の感覚を取り戻す」ための大切なメンテナンスです。

不快や違和感に慣れすぎてしまうと、私たちは「本当はどう感じているか」が分からなくなっていきます。だからこそ、定期的に「嫌だ」を棚卸しすることが、自分の本音とつながり直す一歩になります。

自分のやりたいことが分からなくて、好きなことが見つからない─そういう相談をいただくことがあります。それを紐解いていくとぶつかるのは、不快・不満の感覚に慣れすぎてしまって、感覚自体を鈍らせてしまっている状態であることが多いです。

「嫌だ!」って感覚にしっかり気づき、それを認めていくプロセスは、実はワクワクや好きを探す以上に重要です。その土台となるのが、自分の取扱説明書づくりマイトリセツの〈アンチタグリスト〉編。

最近、自分の感覚が少し鈍っているかも?と感じることはありませんか?

ぜひ一度、立ち止まって振り返ってみてください。

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