NLPコミュニケーションモデルとは、さまざまに提案されているコミュニケーションモデルの1つ。私たちが「どのようにコミュニケーションを取っているのか?」「どのような相互作用が起こっているか?」をシンプルに表現したモデルです。
体験(外部からの情報)を、どのように内面で処理して、反応や行動として現れるかの仕組みを説明しています。
名称 | NLPコミュニケーションモデル |
意味 | 私たちが「どのように世界とコミュニケートしているか」をモデル化したもの |
英語 | Communication Model |
訳 | Communication=意思疎通・通信・メッセージ・伝導 Model=モデル |
NLPコミュニケーションモデルとは?
コミュニケーションモデルでは、体験(外部からの情報)を下記のような流れで処理されていると説明しています。

〈コミュニケーションモデル〉2つのポイント
私たちのコミュニケーションの仕組みには大切なポイントが2つあります。
- 私たちそれぞれが思っている「現実」は現実ではない
- すべては相互に影響し合い、1つが変化すればシステム全体に影響が及ぶ
私たちそれぞれが思っている「現実」は現実ではない
〈図1〉のように、私たちの内部での情報処理には、人それぞれ独自のフィルターがあります。このフィルターを通った情報をもとに、私たちは「現実」と思うもの認識しています。つまりインプット(外部情報)が同じであっても、人によってそれらの情報がどのように処理されるのかは異なり、その結果「現実」と思われるものも異なるのです。
すべては相互に影響し合い、1つが変化すればシステム全体に影響が及ぶ
「すべては相互に影響し合い、1つが変化すればシステム全体に影響が及ぶ」というのは、私たちの学習や変化のプロセスをどのように起こしているか?という〈変化の仕組み〉に関係しています。
この2つのポイントを理解することは、私たちが自分をより深く理解し、望む変化を起こしていくためにとても重要です。
〈コミュニケーションモデル〉の仕組み

- 【 ⑴知覚フィルター】を通してインプットし
- 【感覚の地図】がつくられます。(地図は例えです)
- それがさらに【 ⑵内的処理フィルター】によってフィルタリングされ
- 【内的地図】がつくられます。(内的表象とも言います)
- その心の中の世界に反応するように、自分の【状態】が影響を受け
- 【状態】と【身体の生理】が互いに影響を及ぼし合い
- 【振る舞いや行動】に繋がります。
- 行動の中でも、言葉を使う表現の場合は【 ⑶言語フィルター】によってさらにフィルタリングされ表現されます。
〈コミュニケーションモデル〉と情報処理
私たちは、体験を通してインプットされた情報を、それぞれ独自のフィルターを通して解釈しています。そのため、同じ〈体験〉をしたとしても人によって認識が異なる、解釈が異なるのは自然のことなのです。
私たちは必ずしも〈現実〉に即して行動・反応しているのではなく、各自が考える〈現実と思っているもの〉に対応しているのです。

〈コミュニケーションモデル〉情報処理の3フィルター
⑴ 知覚フィルター
体験は、五感を使ってインプットされる
⑵ 内的処理フィルター
インプットした情報を、過去の体験情報を元に整理・保持・管理する
⑶ 言語フィルター
情報を、他者に伝えるために言葉に変換してアウトプットする
*フィルターの名称や表現方法にはさまざまあります。Ainessでは上記の通り概念・名称を統一しています。
〈コミュニケーションモデル〉フィルターの役割
フィルターには共通する役割があります。
【A】省略すること
体験の特定の側面に注目し、他のことに注意が向かなかったときに発生する
【B】歪曲すること
体験した感覚を、歪ませて解釈をしたときに発生する
【C】一般化すること
1〜2つの体験に基づいて、一般的な結論を導き出したときに発生する
このように外部からインプットされた情報は、それぞれのフィルターを通りながら省略・歪曲・一般化され、私たちの内的な世界=脳内マップを創り上げていきます。体験そのものの情報量は私たちにとって多過ぎて処理できないため、さまざまな種類のフィルタリングがされています。
〈コミュニケーションモデル〉と地図
私たちは、体験を通してインプットされた情報を、それぞれ独自のフィルターを通して解釈していました。そしてこれらフィルターを通して得られた情報をもとに、脳内でつくられる〈現実と思っていること〉のことを地図(脳内マップ)と言います。
私たちはこの各自の地図をもとに、考えたり、決断、行動、反応しています。同じ体験をしたにも関わらず、認識が違う、解釈が違うのは当たり前のことなのです。
またコミュニケーションにおいて話が噛み合わないとき、自分の地図と、相手の地図(それぞれのそもそもとしている前提)が大きく異なる場合があります。人により地図が異なることを理解し、相手の地図を理解することによってコミュニケーションを円滑にしていくことができます。

〈コミュニケーションモデル〉2つの地図
フィルターを通して脳内には2つの地図がつくられます。1つ目が感覚の地図。2つ目が内的地図(内的表象とも呼ばれます)です。
【Step1】感覚の地図
体験について知っていることすべて。
無意識の領域で、言葉では説明できない感覚の世界。
一次的体験。
【Step2】内的地図(内的表象)
体験したことを、五感で再構築した心の中の世界。
私たちはこの地図を基準に考えたり、思い出したり、イメージしています。
言葉やシンボルなどの二次的体験。一次的体験をコード化する表象(言語)から成り立っている。
〈コミュニケーションモデル〉仕組みまとめ
私たちが「現実」と思っていることは、このようにフィルタリングされた情報を元に、ひとりひとりが独自に再構築し、創り上げている心の中の世界です。
コミュニケーションモデルで見てきたように、私たちは現実を「そのまま」認識することはできません。つまり私たちひとりひとりが思っている「現実」はみんなが共通で認識している「現実」ではないのです。
怒りを感じる、悲しい、楽しい!うれしい!…など私たちが感じるのは「出来事/現実」そのものに反応しているのではなく、自分独自のフィルターを通して創り上げた「独自に再構築した世界」に反応しているのです。
〈コミュニケーションのポイント〉
私たちそれぞれが思っている「現実」は現実ではない
〈コミュニケーションモデル〉と変化
私たちは、リラックスしている時と緊張している時では行動が変わります。また物事の捉え方が変わると、気持ちが変わり、身体の状態も変化します。その結果、表情が明るくなったり活動的になるかもしれません。
何か1つ変えると、他に影響が及ぼされより大きな変化が生じます。このように〈行動〉〈状態〉〈物事の捉え方〉はいずれか1つが変化すれば、他も変化するという関係性があります。

〈コミュニケーションモデル〉変化の3要素
私たちが変化が起こる時、〈思考/内的表象〉〈心/内的状態〉〈身体/外的行動〉の3要素が相互に影響しあっています。
*自分自身にどのように「変化」を起こしているのかをこの3要素を元にシンプルに表現したものを変化モデルと言います。
〈コミュニケーションモデル〉変化まとめ
私たちが「変化」と言っていることは、自分の外部と内面双方が影響を及ぼしあって生じたことの結果です。
私たちが何か1つを変えると、それは全体に影響を及ぼします。行動を1つ変えれば、心や思考に影響を与えます。思考を変えると、それは心や行動を変容させます。心・思考・身体は互いに影響し合っているのです。
しかし1つが変わったから1つの結果が出るというものではありません。私たちの変化というのは、システミックなプロセスの結果生まれています。
〈コミュニケーションのポイント〉
すべては相互に影響し合い、1つが変化すればシステム全体に影響が及ぶ
〈コミュニケーションモデル〉まとめ
コミュニケーションモデルのポイントはこの2つでした。
- 私たちそれぞれが思っている「現実」は現実ではない
- すべては相互に影響し合い、1つが変化すればシステム全体に影響が及ぶ
私たちの内的な情報処理の仕組みには
- 3つのフィルター
- 2つの内的な世界(地図)
があり、インプットされた情報は各自の経験をもとにしたフィルターによって加工されます。この加工情報からできた〈内的世界〉を現実だと思い、それに私たちは反応しているため「現実は誰にとっても同じ」ではなく、本当はひとりひとり異なるものです。
私たちが変化をする仕組みには
- 思考(内的な世界/内的表象)
- 心(状態)
- 身体(行動)
という3つの要素がありました。これらは独立して存在しているのではなく互いに影響し合い、1つの変化は全体に影響を及ぼしています。
関連
“事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。”
“There are no facts, only interpretations.”
フリードリヒ・ニーチェ(ドイツの哲学者)
関連ワーク
関連キーワード
- 省略
- 歪曲
- 一般化
- 知覚フィルター
- 内的表象フィルター
- 言語フィルター
- 内的表象
- 内的状態
- 外的行動