コラム

デジタル社会での必須能力「見る力」の高め方

デジタル化が加速する世界で、私たちは日々膨大な視覚情報を受け取っています。そんな視覚情報は「一瞬」で「大量」の情報を取り入れるのにとても有効です。

ではどうしたら視覚情報を上手に活用することができるでしょう…?このページでは視覚を活用する&高めるためのコツとその方法をご紹介します。

視覚の鋭敏性を高めるメリット

視覚情報を効果的に取り込む観察力は、問題解決、クリエイティビティ、コミュニケーション向上の基盤となり、とても大切な力です。仮に同じものを見ていたとしても、そこから得られる情報の量や質が多ければ多いほどその後に活用できる範囲が広がりますよね。では視覚能力に優れた人たちの特徴を見ていきましょう!

視覚的コミュニケーションが豊かになる

視覚能力の高い人たちの共通点は「見る」時により細かい部分を捉える能力に優れていということが挙げられます。

例えば人の表情ひとつとっても、微細な顔の動き、色の変化、表情の違いに気がつくかどうかでコミュニケーションの質は大きく変わります。他にもプレゼンテーション作成の際には、「動きや色味、形」といった細部へのこだわりがあることでより効果的な提案ができます。

このように私たちが何かを「見る」ときに、色、形、動き、奥行きなどの視覚的な情報の細かいポイントに(無意識的に)意識を向けられるようになることで、コミュニケーションをよりスムーズに、豊かにすることができます。

短い時間で、自分に合ったものを判断できるようになる

視覚は五感の中でもっとも、情報を処理する「スピード」が早い感覚です。視覚能力に優れた人々は視覚情報を迅速に処理する能力にも優れています。普段から、細かい部分への注意が向いているため、瞬時に膨大な視覚情報を取り入れることも得意です。そのため視覚能力を高めることで、判断や意思決定をスピーディに行うことができるようになります。

視野が広がる

視覚能力に優れた人々は、多くの情報を取り入れるために基本的に視野が広く、視覚情報を包括的に処理するという、広範囲の情報を一瞬で把握することにも長けています。

視覚の鋭敏性を高める方法

視覚能力が高い人は「何を見るべきか」を経験から知っています。そしてそれは誰でも後天的にも身につけることができるものです。その方法を見ていきましょう。

⑴ 視覚情報を分解する

「見る」という行為の解像度を上げると、実は「見るべき要素」がたくさんがあることに気が付きます。例えば「色」だけに注目して見ている人と、「大きさ」「色の彩度」「画像の明瞭さ」まで「見て」いる人では、同じ場面を見たとしてもそこから得られる情報は大きく異なります

このように「視覚情報」は「色」「大きさ」「色の彩度」「画像の明瞭さ」などさまざまな要素から成り立っています。これら視覚情報を構成する細かい要素のことを視覚のサブモダリティと言います。

サブモダリティ | Sub Modalities サブモダリティとは、感覚のより細かい区分。感覚のより細かい質の違いのこと。 名称サブモダリティ/従属要素(じゅうぞくようそ)意味...

⑵ 視覚情報の観察ポイントを知る

「見る」ことを成り立たせている視覚の要素(サブモダリティ)について、あなたは普段どの要素に注目しているでしょうか?どの要素にはあまり意識が向いていないでしょうか?

  1. 色彩(カラー/モノクロ)
  2. 明度(明るい ⇄ 暗い)
  3. 彩度(鮮やか ⇄ くすんでいる)
  4. コントラスト(明確 ⇄ あいまい)
  5. 焦点(明瞭 ⇄ ぼやけている)
  6. サイズ(大きい ⇄ 小さい)
  7. 遠近感(近い ⇄ 遠い)

この他の視覚の細かい観察ポイントはこちら!↓

視覚のサブモダリティ | Visual SubModality 視覚のサブモダリティとは、視覚情報を構成する細かい要素のこと。 名称視覚のサブモダリティ意味視覚情報を構成する細かい要素のこと英...

⑶ 意識的にトレーニングする

日常的にこれら視覚的な観察ポイントを意識して過ごすのが何より効果的です。

細かく観察するトレーニング

目にする物や風景に対して、色や明暗、形、サイズなどの視覚情報を意識的に「見る」ことで、細部への注意力や観察力を養うことができます。

アートや絵画など、鑑賞する機会を楽しむ

美術館に行くと、鑑賞のための解説や音声ガイダンスがあります。最近は、アートを楽しむためのアートコーチングなるものもあるそうです。すでに視覚的鋭敏性が高い人の解説を聞く、一緒に回る、鑑賞ポイントを聞き同じように見てみることで「どのように見ているのか?」をリアルタイムで知り、体験することはとても貴重なトレーニングになります。何より新しい楽しみを見出すこともできるかもしれません!

同じ種類のものをたくさん見てみる

洋服や、デザイン性のあるものを買いたいと思った時にぜひ試してみてもらいたいのが、ネットの画像検索です。

  1. 欲しいもの(ex.白いワイドパンツ)を検索する
  2. 画像検索をしてその画像を100点くらいさ〜〜〜っと見てみる
  3. 「気になったもの」だけ拡大して「何がヒットポイントだったかな?」と視覚の観察ポイント(サブモダリティ)を参考に自分にとってのポイントを掴みます。

これは「本当に欲しいものを手にするため」という実用的にも効果的!最初は時間がかかるように感じるかもしれませんが、データ(画像)を一旦短時間で浴びるように見ることでゆくゆくその速度はどんどん早くなっていきます。好きな形、色、デザインなど、共通した視覚的な好みが分かると、今後の物事の判断、選択がとても早くできるようになりますよ。またその好みこそ「自分軸」の1つです。視覚的な好み、表現方法を磨くことで自己表現も豊かにできるようになります。

イメージトレーニングをする

視覚は頭の中でイメージしたり、過去の映像を思い出している時にも、実際に見ている時と同じ働きをしています。そのため「これから楽しみな予定」について考えているとき、そのイメージの色、彩度、映像の大きさなどがどのようなものかに意識を向けることもトレーニングになります。ビジュアライズ能力は、欲しい未来を実現するためにも必須能力の1つなので「思い描くだけで楽しく、うれしくなるようなシーンについて考える」ということ、ぜひ繰り返し取り組んでみてください♪

⑷ 視覚情報を効果的に活用する

視覚情報を使って、思考や感情に訴えかける

視覚情報に関する細かい違いを認識する力は、自分の視覚に関する好みを知る自己理解にも役立つし、人の気持ちや考えに訴えかける他者とのコミュニケーション方法としても活用することができます。

例えば、伝えたいことを図解する、絵で表現するとより「直感的な理解」を促すことができます。色味や彩度を変えることでメッセージの印象を変えることも可能です。これらの視覚の要素(サブモダリティ)を理解して活用することで、より効果的なコミュニケーションや思考の変化を促すことができます。

まとめ

視覚は、私たちの五感の中でも最も重要なものの一つです。視覚を通じて、私たちは世界を認識し、情報を収集し、意思決定を行います。

視覚情報は、私たちの脳内で処理されて、その結果その形状、色、大きさ、位置、距離、方向などを認識することができます。このような視覚を成り立たせている細かい要素(サブモダリティ)をどれだけ認識できるかが視覚能力の要です。細かい要素についてに意識が向けば向くほど、多くの情報を得ることができ、結果素早い情報処理や、判断が可能になります。

視覚能力はいつからでも高めることができます。ぜひ観察トレーニング、取り組んでみてください!