コラム

より良いコミュニケーションのために「聴く」力の高め方

私たちが日常生活を送る中で「音」がないことはありません。音の情報があることで、危険察知をしたり、物事との距離感を把握したり、そして会話というコミュニケーションをとっています。

この記事では聴覚能力を高めるためのコツと、その高め方をご紹介します。

あなたは普段、何かを「聴く」ときどの要素には意識が向いているでしょうか?
もしくはどの要素には無関心でしょうか?
ぜひ自分と照らし合わせて読み進めてみてください!

聴覚能力に優れた人の共通点

音への感度が高い

聴覚能力に優れた人々は、音に対する注意力が高く、環境音などの音をよく拾うことができます。

ある知人が「“遠くで鳴っている電車や車の音が聞こえる!”って子どもが話してくれるんだけど私(親)は“え?確かに…言われたら…聞こえるかも”って初めて気づいたんだ。」という話をしてくれたことがありました。そのお子さんは音への感度が高くて、親御さんが気づく以上に周りにある音をキャッチしていたんですよね。

遠くの音までよく聞こえる、話している声が耳に自然と入ってくる、ちょっとした音などもキャッチできる、など音に対しての感度が高いため自然と耳に入ってくる力を持っています。ただ音が入り過ぎてしまうと疲れてしまうので、感度が高いからこそ自分なりのシャットアウト方法や聞かない時間・方法を持っておくとスムーズです。

音の細かい違いを捉えられる

聴覚能力に優れた人々は、周波数や音量の微妙な変化に敏感で、音に含まれる細かいニュアンスを正確に把握することができます。

私の友人は「その環境の乾燥度合いによって、楽器の音の響き方が変わるのが分かるから、都度チューニングをする」と話してくれたことがあり「え!空気の乾燥度で音が変わるの?というか…それを聞き分けられて、しかもそれをチューニングするって概念があるの!?」とびっくりしたことがあります。

音楽家や音に関する仕事をされている方にとっては自然なことなのかもしれませんが、それくらい音への感動が高いと本当に細かい違いを捉えることができるんですね。またこのように音の違いを捉えられるということは、調整する力もあるということです。そのため音に関する仕事に就く、趣味で楽しむなど音に関連したライフスタイルを送ることでその力を活かしている方が多いです。

音に対する自分の快/不快を知っている

聴覚能力に優れた人々は、自分にとってどんな音や音楽が心地よいか/逆に何が不快かを熟知しています。他の人は気にならない音の細かい違いを認識しているからこそ、自分にとっての良い/悪いを感じ取る力があるのです。

ガラスを引っ掻いたような音を聞くと不快を感じますよね。これは多くの人が共通して感じる感覚かもしれませんが、基本的に人それぞれどの音を、どう感じるかは異なります。聴覚能力が高い人はよりその快/不快の感度が高い傾向にあります。

感度が高いことを活かして心地よい音を増やす、好きな音に触れる時間を増やし、不快な音からは離れるように生活の中で工夫していくことでより能力を活かしていくことができます。

言語学習が得意

言語能力と、聴覚能力には関係性があると言われることがあります。それは注意深く聴くことができると外国語の発音やアクセントを正確に聞き取ることができ、正確に聞くことができると自分でその音を再現しやすくなります。そうやって聴く⇄話すをより正確に繰り返すことができるので、言語を学ぶ際にとても有利です。

聴覚能力を高める方法

⑴ 聴覚情報を分解する

「聴く」という1つのアクションの中にも実は「聴くための要素」ってたくさんあります。例えば「音量」だけに注目して聴いているのと、「音色」「リズム」「ピッチ」まで「聴き分けている」ときでは、同じ音を聴いたとしてもそこから得られる情報は大きく異なりますよね。

「聴く」というアクションは「音色」「音量」「リズム」「ピッチ」などさまざまな要素から成り立っています。(これらの聴覚情報を構成する細かい要素のことを聴覚のサブモダリティと言います。)

サブモダリティ | Sub Modalities サブモダリティとは、感覚のより細かい区分。感覚のより細かい質の違いのこと。 名称サブモダリティ/従属要素(じゅうぞくようそ)意味...

⑵ 聴く「要素」を知る

「聴く」ことを成り立たせている聴覚の要素(サブモダリティ)について、あなたは普段どれに注意しているでしょうか?逆にどの要素にはあまり意識が向いていないでしょうか?

  1. 大きい ⇄ 小さい(音量)
  2. 音の豊かさ(音色)
  3. 静か ⇄ 耳ざわり(音調)
  4. トーン
  5. 速い ⇄ 遅い(ピッチ)
  6. リズム
  7. 抑揚
  8. 高音 ⇄ 低音(音程)

この他にも聴覚の要素(サブモダリティ)ってたくさんあります。↓

聴覚のサブモダリティ | Auditory SubModality 聴覚のサブモダリティとは、聴覚情報を構成する細かい要素のこと。 名称聴覚のサブモダリティ意味聴覚情報を構成する細かい要素のこと英...

⑶ トレーニングする

日常的にこれら聴覚の要素に意識を向けていると、そのキャッチ力が高まっていきます。

映画やドラマで「人の声」に注目する

私たちは人の抑揚や気持ちの変化を、自然と無意識に相手の声のトーン、リズム、大きさで判断して反応しています。しかし自分の「聴き方のクセ」を誰もが持っています。そのため映画やドラマのやりとりを、内容ではなく話している人の声の「トーン」「リズム」「大きさ」「速さ」などに注目して聴いてみると新しい発見があるかもしれません。またそれを同じような場面で意識して使ってみると自身のコミュニケーションスキルを高めることができます。

静かな場所で「音」に集中する

騒音の多い環境では集中力が散漫になり、聴きづらいですよね。そのためできるだけ静かな場所で、音だけを聴く時間や機会を持つのもオススメです。リラックスや気分転換にもなって一石二鳥!

音楽を楽しむ

音楽に触れることで、元気をもらったり、気分転換できたり、リラックスできたり…と音楽によって気持ちが変わった経験はありませんか?

普段あまり音楽を聞かない人でも、ちょっと時間を作って「好きな曲を探してみる」「今の気分に合う音楽を探してみる」というように積極的に「聴く」という機会を作ってみることで音への感度を高めることができます。またこれは自分にとっての「いいと感じる音/音楽」を知る機会にもなり感性を高めることにも繋がります。

⑷ 聴覚の力を活用する

思考や感情に訴えかける

音に関する細かい違いを認識する力は、自分の音に関する好みを知る自己理解にも役立ちますし、同じように人の気持ちや考えに訴えかける時にも表現方法として活用できます。

例えば、音量を変えることで「より強いメッセージ」を伝えることができます。リズムを変えることで伝えたい「ニュアンスを変える」ことも可能です。これらの聴覚のサブモダリティを認識し、活用することで、より効果的なコミュニケーションや思考の変化を促すことも可能です。

まとめ

聴覚は、私たちが外部から受け取る音情報を捉えるのにとても重要な役割を果たしています。「聴く」ことについての細かい要素についてと、そのトレーニング方法をご紹介しました。

人の話を聞く、音楽を聞く、環境の音を聞くことで、私たちは状況を理解し、そして反応してコミュニケーションを取っています。音への理解を深めることは、コミュニケーションの質をあげることと言っても過言ではありません。

また、音は私たちの感情や感覚にも大きな影響を与えてくれます。それであればよりいい影響を受けられた方がいいですよね。聞くことへ意識を向けることで、音楽や言語などの聴覚的な世界の経験をより豊かにすることができます

音に意識を向けてみるきっかけになったらいいなと思います♪

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