リフレーミングとは、ものごとに対する見方・視点を変えること。枠組みを変化させること。
名称 | リフレーム |
意味 | 異なる枠組みを当てはめることで、物事の見方や視点を変えること |
英語 | Reframe |
訳 | あるイメージや体験の枠を新しくする/変えること |
リフレームの概要
出来事は「どのような枠組みに収めるか」で、捉え方・解釈が変わります。枠組みを変えると、意味も変わります。出来事の意味(捉え方)が変われば、私たちの反応と行動と変わります。リフレームとは、いろいろな枠組みで見ることを可能にするためのツール/能力です。
私たちは出来事を、ある側面からしか見つめることができず、1つの視点・考え方にとらわれてしまうことがあります。そのようなときに大切なのは「ものの捉え方はいくつもある」「枠組みを変えることで、解釈を変えることができる」ということに気が付くことです。異なる枠組みを当てはめることで、それまでの物事の見方や視点を変えるのがリフレームの目的です。1つの出来事でも見る角度、使うフレームによってさまざまな解釈ができます。その中からその時の自分にもっともマッチする選択肢を選べばよいのです。心理的枠組みを変える=リフレームすることによって、選択肢と可能性を広げることができます。
リフレームの前提
- 本来、体験そのものには意味はありません。
- 私たちはそれぞれの信念・価値観・関心ごと・好みにより、体験に意味を与えています。
- 体験の意味は、状況・人(の心理的フレーム)によって異なります。
- フレームを変えれば意味が変わります。
- 意味を変えれば出来事に対する自身の反応・行動を容易に変えることができるようになります。
- 「どんなフレームを使っているか?」に自覚的になることで、他フレームに切り替える(リフレームする)ことが容易になります。
- 行動と意図(行動の目的)は、分けることができる
リフレームの目的
- ○出来事に対する解釈の〈選択肢を増やす〉こと。
- ○その課題/状況を適切に扱える〈余白を作る〉こと。
- × 「すべてをポジティブな側面から見る」ためのものではありません。
- × 「本当はいい側面があるはず」と、よいところを探すためのものでもありません。
リフレームは、すべての出来事をポジティブに捉えようとするものではありません。またリフレームすることで問題が勝手に解決する訳でもありません。リフレームすることで多角的な捉え方ができるため、選択肢が増え、柔軟性が高まります。課題解決に取り組む必要は依然としてありますが、解決が格段にしやすくなります。
リフレームのメリット
- 1つの出来事を、さまざまな視点で見れる
- 思考の柔軟性が高まる
- 困難だと思う状況でも、選択肢を見つけ出せる
- 課題に対しての余白を作り、対処しやすくする
- より多くの選択肢・可能性に気づける
- 物事に対処するための柔軟性が高まる
- 結果、自由度を高めることができる
- 自身の望ましくない行動を、望ましい行動に変えやすくする
- 体験や状況を、さらに思慮深く把握することができる
- クリエイティブに捉える能力を鍛えることができる
- 限定的な信念や限界を乗り越えるために使える
リフレームの例
「仕事がうまく行かない…」と落ち込んでいるときにも、さまざまなリフレーム方法があります。その中の4つをご紹介します。
⑴ 焦点のリフレーム
「どこに焦点を合わせるか?」を変える選択肢があります。出来事のどの部分に焦点を当てるかによって、出来事の意味は変わります。
- 〈うまく行かない〉→〈実現したいこと〉に焦点の枠組みを変える
- 効果的な質問:「実現させたいことは何なんだろう?」
- 参考情報:非難フレーム / アウトカム・フレーム

⑵ 時間のリフレーム
出来事を「どの時間軸で見るか」によって、出来事の意味が変わります。
- 〈今〉 →〈30年〉に時間のフレームを変える
- 効果的な質問:「30年の視点で見たら、どんな風に捉えられるだろう?」
- 参考情報:エコロジー・フレーム

⑶ 意味のリフレーム
同じ出来事も、見る側によって異なる模様に見えます。見え方が変わるとその出来事の意味も変わります。
- 〈失敗〉→〈フィードバック〉というフレームへ変える
- 効果的な質問:「うまく行かないこと(失敗)から、何を学んだ(フィードバック)かな?」
- 参考情報:失敗フレーム / フィードバック・フレーム

⑷ 状況のリフレーム
同じ行動も、状況によってその評価は異なります。〈円柱である〉ことは変わらなくても、状況(というフレーム)が変わると意味が変わります。
- 〈弱み〉 →〈強み〉枠へ
- 効果的な質問:「この特性は、他のどんな状況で活かせるだろう?」
- 参考情報:状況のリフレーム

一語リフレーミング
一語で出来事の捉え方を変えることを〈一語リフレーミング〉〈言い換え言葉〉ということができます。
- ピンチ ⇄ チャンス
- 器用貧乏 ⇄ 多才
- 難しい ⇄チャレンジしがいがある
- わがまま ⇄ 自分を持っている
- 細かい ⇄ こだわりがある
- 疲れた ⇄ やり切った
- 退屈 ⇄ 穏やか
- バカ正直 ⇄ 素直
- ミスが多い ⇄ スピード重視
- 流されやすい ⇄ 波に乗るのがうまい
- すぐ泣く ⇄ 感受性が豊か
- ウワサ好き ⇄ 情報通
- 融通がきかない ⇄ 計画性がある
- 要領が悪い ⇄ 丁寧
- マイペース ⇄ 自分を持っている
その他
- ジョーク
- 神話
- 伝説
- おとぎ話
- 発明
- 言い換え
- 隠喩(メタファー)
- 〜ができない → 〜がしたくない
- でも → そして
リフレームの種類
私たちの〈行動・反応〉には、それが状況的に不適切な場合や、本人が望む本来の目的に沿っていない場合があります。リフレームはさまざまな場面で活用されていますが、人の〈行動・反応〉をリフレームするのに有効な2種類があります。
【A】状況のリフレーム
すべての行動は、いずれかの状況においては役に立つものです。同じ行動でも〈状況〉が異なればその意味は変わります。
ある行動を、他の状況フレームに当てはめることで別の意味を見出すために使います。詳しくはこちら→状況のリフレームと言います。

【B】内容のリフレーム
すべての行動には、肯定的な意図や意味があります。否定的に見える行動でもどこに焦点を当てるかによってその行動の意味が変わります。
ネガティブに見える行動・反応の、肯定的な意図を理解し、別の行動に変えるなどの選択肢を増やすために使えます。詳しくはこちら→内容のリフレーム

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- 6ステップ・リフレーム
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