私たちは今、膨大な情報に囲まれて生きています。選択肢が増え、多様化が進んだ反面、どのように情報を取捨選択していくかが課題でもあります。
大量の情報が溢れる中で、自分にとって重要な情報を上手に分類したり、理解しやすいように小さな情報の塊にまとめ直したり、逆に情報を統合させて大きな塊にして方向性を決める、など「情報をどのように扱うか?」のスキルはこれからより重要視されていくことでしょう。
この記事では「情報を塊に分けて整理する方法」を3つご紹介します。今回ご紹介する情報整理の仕方は、新しいスキルの習得からコミュニケーションの改善、問題解決まで、幅広いエリアに応用できるものです。
情報整理の方法も、人それぞれ得手不得手があることがほとんどですが「どれも不得意だ」という方には会ったことがありません。ある方法は得意で自然とできているけれど、別のものは意識しないとできない方法かもしれません。ご自身の得意な方法はどれか?考えながら読み進めてみてください!
チャンキングとは?
チャンクとは「情報の塊」を意味します。特に認知心理学では「人間が一度に記憶できる」情報量の単位を「チャンク」と呼びます。
チャンキングとは「複数の情報をかたまりに変えたり、1つの情報のかたまりを複数の情報に分けたりすること」を指します。チャンキングを効果的に活用することで、理解力、記憶力、コミュニケーションスキルなどを高めることがとっても簡単になります。
時間を区切る
普段から時間を小さな区切りに分割すると、より効率的なスケジュール管理や予定の調整が可能になります。
逆に時間を大きな区切りにまとめて、臨機応変に対応するゆとりを持たせることを意図的に行うこともできますよね。これは「時間のチャンキング」と言えます。
スペースを区切る
物理的な空間を小さなエリアに分割し整理することで、効率的な空間の活用が可能となります。逆に大きなスペースを用意して、大まかな置き場所を設定することが有効な場合もあります。これは「スペースのチャンキング」の例となります。
プロセスを区切る
目標や目指す目的地があるときに、そこまでのプロセスを小さなステップに分割することで、具体的に行動がしやすくなり実行力が上がります。逆にプロセスを、ある程度の大きなステップで捉えると目的や方向性がブレずに進むことができます。これは「プロセスのチャンキング」です。
分類で区切る
大量の情報があるときには、ある共通項を元にカテゴリー別に分類することでより理解しやすくなりますね!
このように目的や課題に応じて「塊を小さく分割する」か、もしくは「大きな塊にまとめる」かを使い分けることによって効果的な情報処理や、問題解決を行うことができます。
チャンキングの3種類
チャンキングには3つのパターンがあります。
- 大きく分ける:抽象化する(チャンク・アップ)
- 小さく分ける:具体化する(チャンク・ダウン)
- 水平展開する(チャンク・ラテラル)
チャンク・アップ
チャンク・アップとは、より大きな枠組みで物事を理解する方法です。細かい部分をまとめより大きな単位にまとめて理解することが目的です。。「チャンク・アップする」ことで、細かい情報を引いて捉えたことで分かるその全体像や方向性、目的などを、抽象度高く理解することができるようになります。
チャンク・アップの具体例
例えば…〈スマートフォン〉。スマホを「チャンク・アップ」すると〈電話〉というカテゴリーでまとめることができます。ただ電話はスマホだけではありません。電話を「チャンク・ダウン」するとスマホも含まれますが、固定電話、公衆電話などを挙げることができます。
チャンク・アップが有効なとき
チャンク・アップは、複雑な問題を解決する際に有効です。問題の全体像を把握し、大きな方向性や解決方針を見出すことができます。また、チャンクアップを行うことで、物事の本質や共通点を見つけることができ、創造的な発想につなげることもできます。
チャンク・アップの注意事項
ただしチャンク・アップは過度に行うと「机上の空論」になったり、実行性のない「理想論」になってしまう場合があります。また詳細な部分を見落とす可能性があるため、チャンク・ダウンとバランスよく使い分けることが重要です。
チャンク・ダウン
チャンク・ダウンとは、詳細な情報に分解することで、より具体的に物事を理解する方法です。「チャンク・ダウンする」ことで、大きな枠組みから細かいパーツに分解してよりリアルに、具体的に物事を理解することが可能になります。
チャンク・ダウンの具体例
例えば…〈車〉。車を「チャンク・ダウン」すると〈タイヤ〉〈エンジン〉〈シート〉といった細かい部分に分解することができます。これによって車の構造や仕組みをより詳細に理解することができます。
チャンク・ダウンが有効なとき
チャンク・ダウンは、具体的な問題を解決したり、実行する際に有効です。ステップを小さく分解することで、具体的な行動やアプローチ方法、解決策を見つけることができます。また細かい部分に目を向けることで、重要な詳細や細かい点を見逃さないようにすることができます。
チャンク・ダウンの注意事項
ただしチャンク・ダウンを過度に行うと全体像を見失ってしまう場合があります。また細かい部分に意識が向きすぎて本来の目的や方向性とは関係ないのに、その行動を続けてしまうことがあるので、チャンク・アップとバランスよく使っていくことが大切です。
チャンク・ラテラル
チャンク・ラテラルとは、同じ情報レベル(塊の大きさ)で水平展開する方法のこと。異なるカテゴリーの情報を組み合わせることで、新しいアイデアや発想を生み出すことができます。また選択肢を広げるのにとても有効です。
チャンク・ラテラルの具体例
例えば…〈自転車〉。自転車を“二輪のもの”というカテゴリーで「チャンク・ラテラル」すると〈バイク〉〈BMX〉〈工事用二輪車〉というように水平展開することができます。
他にも〈飛行機〉。飛行機を“移動手段”というカテゴリーで「チャンク・ラテラル」すると〈電車〉〈タクシー〉〈船〉〈車〉というように横展開できます。
チャンク・ラテラルが有効なとき
チャンク・ラテラルは、創造的な問題解決に役立ちます。複数の異なる視点やカテゴリーの情報を組み合わせることで、新しい発想や解決策を見つけることができます。これは問題解決の選択肢を増やすことに大いに役立ちます。
また課題に新しい視点を与え、新しい意味を生み出すためにも役立てることが可能で異なる業界や分野の知識を組み合わせることで新しいアイディアやクリエイティブな発想を生み出すこともできます。
チャンク・ラテラルの注意事項
チャンク・ラテラルは、自分の持っている情報量に依存することと、慣れ親しんだ情報やパターンに捉われやすくなる場合があります。そのため横展開するためのそもそもの情報量と、それを掛け合わせる創造性や柔軟性を常に意識しトレーニングしておくことが重要です。
まとめ
チャンクキングは、情報を塊と捉えることで整理するテクニックで、情報処理の効率を高めるスキルです。
目的に合わせて、大量の情報を分割する、逆に情報をまとめてその全体像を理解する、もしくは水平展開することで選択肢を増やす…と活用することができます。このチャンキングのテクニックは学習、コミュニケーション、問題解決、目標実現スキルを強化するために使用できる「情報の扱い方の基礎」となっているものです。
複雑な概念や情報を小さなチャンク(塊)に分割することで、よりわかりやすく、簡単に理解することができます。これは学習や問題解決、コミュニケーションにおいて有用です。具体的な情報が多い時は、その共通点を探して要点にまとめ伝えることでより明確な表現や伝えたいポイントを的確に伝えることができます。
チャンキングの3パターンは、どの方法も使えば使うほどそのスキルは上がります。そして自由自在にチャンキングができるようになると、物事の整理、理解、アウトプットがとてもスムーズになります。得意なパターンはどれでしたか?これまであまり意識してこなったパターンはありましたか?ぜひ目的に合わせたチャンキングトレーニングをはじめてみてください。