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システムシンキング(システム思考) | Systemic Thinking

システムシンキング(システム思考)とは、複雑な問題や課題を理解し、解決するためのフレームワークやアプローチのこと。

課題や問題を「システム」として捉え、「全体としてのシステムの構造」や「相互作用」を把握し、個々の要素だけでなく、それらの要素がどのように相互に影響し合い、全体としてどのような特性を持っているかを理解することに焦点を当てています。

名称システムシンキング(システム思考)
意味
英語Systemic Thinking/Systems Thinking

システムシンキング(システム思考)とは?

課題の根底にあるメンタルモデル(無意識・無自覚の考え方、思い込み、価値観、前提)を改善し、それによって意思決定の質を向上させるためのフレームワーク。複雑な状況において、より本質的な部分にアプローチし持続的に変化し続けるために活用することができる思考法です。

氷山モデル

課題として表出しているのは、あくまで全体の一部である、という考え方。

出来事

私たちが分かりやすく「見える」「気づける」のが出来事です。

出来事に「対処」することで見え方や出来事の現れ方に変化を起こすことができます。しかしそれはあくまで表出している出来事への「対処療法」のため「根本解決」にはなりません。時間が経つと事象は違えと同じような出来事が起こる、別の場所に課題が移るなどの出来事が起こり続けます。

パターン

複数の出来事や事象を、引いてみてみると「共通点」が分かってきたり、繰り返し起こっている部分が見えてきます。これらのパターンを認識することで、出来事に対処するだけでなく、パターンを変えるためのアプローチへと踏み込んだ解決策を考えることができるようになります。(成功パターン、失敗パターン)

構造

そもそもパターンは構造から生み出されます。複雑な社会(システム)において繰り返し起こるパターンは、それを生み出す構造があると考える方が建設的で、根本解決に効果的です。構造を解明して、構造自体に変化を加えることを考えることが可能です。

メンタルモデル(意識&無意識の前提や価値観、思い込み)

最も深いレベルは、システム構造の「前提」となっている意識的&無意識的な考え方、価値観、思い込みです。これらを総称してメンタルモデルといいます。

「人生は修行である」という前提の元に人生を生きる人にとって、働くこと、人間関係、生きることのすべては「修行」です。いくら「楽しく働く」構造を作り上げたとしてもその構造を作り上げる過程自体を「修行」と捉えるでしょう。

「人生は、楽しむためのゲームである」という前提の元に人生を生きる人にとって、働くことも、人間関係も、生活のすべては「ゲーム」です。そのため「厳しい仕事」に出会ったとしても「どうやって難しいゲームを攻略しよう?」というようにその構造の解明を「楽しむための課題」として捉えるでしょう。

この「人生の前提」にアプローチし変化を起こすことは、最も深く根本的な課題解決の方法になります。なぜならこの深層レベルが変わるとその上位レベル(構造、パターン、出来事)が変わるからです。

https://ainess-library.com/22941/

システムシンキング(システム思考)の特徴

  1. 全体性の把握
    問題や課題を個々の要素だけでなく、全体としてのシステムとして捉えます。要素間の相互作用やフィードバックループを理解することが重要です。
  2. つながりをみる
  3. フィードバックの認識
    システム内の変化やアクションがフィードバックループを通じて、システム全体に影響を及ぼすことを認識します。これにより、問題解決の予期せぬ結果や副作用を予測し、適切な対策を取ることができます。
  4. 時間の視点
    システムは時間とともに変化するものであるため、過去から現在までの変化や将来の変化を考慮します。
  5. 多面的&根本的なアプローチ
    問題を多面的に捉えるため、単純な原因と結果の関係だけでなく、様々な要因や影響を考慮します。

システムシンキング(システム思考)のメリット

課題の可視化ができる

物事の全体像、つながりを可視化できることで、迅速に、現状理解ができるとともにその解像度も高まります。

全体像の把握ができる

課題の一部分に焦点を当てても、もっと大きな視点で見るとそもそも原因と思っていたことが違ったということが起こります。システム思考は全体像を把握することがあるため、問題や課題の根本原因にアプローチすることができるようになります。

共通認識を持つことができる

システム思考の可視化によって、人にも現状を共有することができるようになります。

システムシンキング(システム思考)の活用

システム思考は、組織のマネジメント、戦略立案、問題解決、意思決定など、さまざまな分野で応用されています。システム思考の考え方を取り入れることで、より効果的な解決策や持続可能なアプローチを見つけることができる可能性が高まります。

*メンタルモデルをよりよくする方法:シングルループ学習/ダブルループ学習のモデルを参照ください。

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