ダブルループ学習とは、1つの行動が2つ(ダブル)の学びに影響している方法のこと。
具体的には、
- 問題解決のためのシンプルな行動(シングル)が
- 自身の信念・価値観を変容させること(ダブル)にも繋がっている
時のことを言う。
名称 | ダブルループ学習 |
意味 | 問題解決のためのシンプルな行動(シングル)が自身の信念・価値観を変容させること(ダブル)にも繋がっているときのことを指す |
英語 | Double Loop |
訳 | Double=二重の Loop=ループ、輪 Learning=学習 |
変化を引き起こす2つの学習ループ
変化の種類と〈2つのループ〉
変化にはシンプル(単純)な変化と、ジェネラティブ(生成的)な変化と2種類があります
- シンプルな変化
- 単純で他への副次的な影響のない変化のこと。(一次変化)
- 行動や能力に対処することで可能になります。
- シングルループ/単純学習と呼ばれます
- ジェネラティブな変化
- 新しいものを創り出したり、ある状態から他の状態になることを促すような変化のこと。(二次変化)
- 行動・能力だけでなく、信念・価値観にまで焦点を当てることで可能になります。
- 2つのループを同時に回すことからダブルループ/生成学習と呼ばれます
学習、問題解決、目標達成など「変化を起こす」ときに、最高のパフォーマンスを発揮するためには、この2つの変化を同時に引き起こしていくことがもっとも効果的です。

ロジカルレベルと〈2つのループ〉
より効果的で本質的な変化を引き起こすとき、2つのループを同時に回すことが効果的ですが、2つのループはそれぞれ焦点を当てる内容が異なります。
- 行動・能力に焦点を当てる=シングルループ学習
- 信念・価値観にも焦点を当てる=ダブルループ学習
*ロジカルレベルについて詳しくはこちら

ダブルループを回すことで「魚を得ながら、同時に、より効果的な釣りの仕方を学ぶ」ことを可能にします。
ダブルループ学習の概要
ダブルループ学習とは?
ダブルループは、問題や症状に対して「何をすべきか?」を考え対処するだけでなく、その背景や根本原因となる信念や価値観にも焦点を当てて考えることで、複数の変化を同時に起こしたり生成的な変化(新しいものの創出・状態変化/二次変化)を引き起こします。
ダブルループ学習の例

具体的には「腰痛がする」という症状に対して、生活習慣や思い込み、考え方を振り返って根本から改善を図ろうというような場合です。
- 問題や症状=腰痛がする
- 働きかけること=症状を引き起こす信念や価値観は?どのような意味がある?など
- 生成的に変化する=ライフスタイルの見直し、考え方のアップデートを経て腰痛という症状の解消と、予防が実現する
このように問題に対処するために「何をすべきか?」行動や能力について考え、必要な行動をすることによって問題解決をはかるだけでなく(=シングルループ)「どのようにこの問題・症状を根本的に解消するか」について信念・価値観レベルまでをフィードバックループにかけて考え、対処するのです。
ダブルループ学習の前提
- 思い込み(状況に不適切な信念)が学習を停滞させることがあります
- 同じ問題が起こったり、問題がなかなか解決しない場合、その裏側には自分を制限する思い込みが潜んでいます
- ダブルループでは、問題解決のみならず、そもそもその問題を生じさせるに至った思考や信念・価値観を明確にして、調整します
ダブルループ学習の特徴
- 二次変化を引き起こす
- 問題・症状の背景にある〈信念〉〈価値観〉に焦点を当てる
- 信念・価値観について「どのように?how」を考える
- 問題自体が定義されていなかったり、境界・構造化されていない問題に対処するのに効果的
ダブルループ学習の質問
- これ(問題・症状・悩み・ギャップ)についての、私の思い込み/前提はなんだろう?
- これについて、他にどのように考えることができるだろう?
- 私の思い込み/前提が問題を引き起こしているとしたら?
- どうして同じことが、何度も繰り返し起こるのだろう?
ダブルループ学習に効果的なテクニック
2つのループの例
Case1〈勉強・学び〉
webを学ぶ場合を考えてみます。
- webの知識を学ぶことを決めた
- webのスクールに通って教えてもらう
- 知識・技術・経験が身につく
- 学びたかった内容を身につけることができ、学習アクションは終了
→〈webを学ぶ〉と〈スクールに通って身につける〉というシングルループです。
- webの知識を学ぶことを決めた
- 「そもそもどうしたら効果的に学べるかな?技術を身につけられるかな?」も考える
- 信念・価値観に関する発見をする
- 事前に予習をした方が理解しやすいことを発見する
- 人と話すことで学びが定着しやすいことを発見する
- 「勉強は苦手だ」と思い込んでいた部分を「楽しいもの」と意識を変える必要性に気づく
- それぞれに対応する行動を取る
- 自身の理解度の変化を観察し、それに応じて柔軟に行動を選択し続けていく
- 学びが、自分の決めた目標に到達するまで繰り返す
- 自身の知識・スキル・経験の向上と同時に、新しいものが創られていることに気づく
- 自分の能力を伸ばしやすい勉強の仕方
- スムーズな記憶方法
- 思い込みにより制限していたことからの解放
→〈web知識・スキルの習得〉と〈自分の得意な学習スタイルの習得・制限となっていた思い込みのリリース〉というダブルループです。
Case2〈健康・生活〉
腰痛の改善を考えてみます。
- 腰痛という症状が出た
- 病院に行って、薬や治療を施してもらう
- 痛みが緩和され
- 問題解決のアクションは終了
→〈腰痛の解消〉と〈薬の服用〉というシングルループです。
- 腰痛という症状が長く続いている
- 「そもそもどうして腰痛になったか?なぜ治らないのか?」も考える
- 信念・価値観に関するズレに気づく
- ライフスタイルを変える必要があると発見する
- 仕事時の姿勢を変える必要があると発見する
- 「自分の身体に責任を持った方がいい」という意識を変える必要性に気づく
- それぞれに対応する行動を取る
- 症状の変化を観察し、それに応じて柔軟に行動を選択し続けていく
- 症状が改善されるまで繰り返す
- 症状が改善されると同時に、新しいものが創られていることに気づく
- ライフスタイル
- ワークスタイル
- 自身の身体への意識
→〈腰痛の解消〉と〈新しいライフスタイル、ワークスタイル、身体への観念変化〉というダブルループです。
Case3〈仕事・人間関係〉
仕事における人間関係の問題解決を考えてみます。
- 人間関係が良くない
- 転職をして職場環境を変える
- 悩みが解決され
- 問題解決のアクションは終了
→〈人間関係による悩みの解消〉と〈その場所を離れる〉というシングルループです。
- 人間関係が良くない
- 「そもそもどうして良くないのか?なぜそう思うのか?何が希望か?」も考える
- 信念・価値観に関するズレに気づくそもそも会社の価値観と、自分の価値観の違いに気づく
- 上司の仕事における信念と、自分の仕事における信念が異なることに気づく
- 自身が「嫌な部分」に目を向けがちで「いい部分」を見ることをしていなかったことに気づく
- それぞれに対応する行動を取る
- 変化を観察し、それに応じて柔軟に行動を選択し続けていく
- 関係性、もしくは自身の状態が改善されるまで繰り返す
- 課題が解決されると同時に、新しいものが創られていることに気づく価値観の合う職場・会社
- 自他それぞれの信念を理解し、それぞれを尊重する働き方を身につけた
- 自身の思考のクセを理解し、それを活かすことができる能力を身につけた
→〈人間関係による悩みの解消〉と〈信念・価値観の明確化、思考のクセの理解〉というダブルループです。
これらのようにシングルループ/ダブルループ、それぞれを目的や状況に合わせて活用できるとスムーズです。