メタモデルにおける不特定名詞とは、具体的に特定のものや人を指し示す「名詞」が特定されていないときに使われる言葉のこと。具体的には
- 「それ」「あれ」
- 「人は」「彼/彼女は」「彼らは」
などの言葉のことを、不特定名詞と言います。これらはすべて特定の人や特定の物が「誰なのか」「何なのか」が省略されていて内容があいまいです。
外部には膨大すぎる情報があるため、私たちが内的に情報処理をする際には必ず省略が行われており、誰か、何かを特定しなくても意思疎通できる場合もあります。しかしそれが重要な情報の場合、齟齬やミスコミュニケーションが生まれる原因になります。
不特定名詞による情報省略の弊害と、その回避&回復方法をご紹介します。
名称 | 不特定名詞(ふとくていめいし) |
意味 | 具体的に特定のものや人を指し示さない「名詞」のこと |
英語 | Unspecified Noun |
訳 | Unspecified=不特定な、不特定の Noun=名詞 |
メタモデルの〈不特定名詞〉とは?
〈不特定名詞〉の概要
コミュニケーションモデルとは
〈コミュニケーションモデル〉という「私たちが世界をどう認識しているのか?」を表したモデルがあります。私たちが思考する、記憶するなどの情報処理プロセスの中で、情報を省略・歪曲・一般化する働きがあります。
メタモデルとは
私たちの情報処理プロセスにおいて、省略・歪曲・一般化は必要不可欠です。しかしこれら3つの機能が効果的に働かない場合があります。すると、私たちは行き詰まり、選択肢を失い、自らの可能性を狭めてしまいます。
私たちの内的な情報処理プロセスの過程で、不必要&不適切に情報が失われてしまう場合(パターン)が12あります。そしてそれぞれにおいて、その情報を回復させるための効果的な質問があります。これら不必要&不適切に情報が失われてしまう12パターンと、それを回復させるための質問を体系化したものをメタモデルと言います。
〈不特定名詞〉の省略とは
私たちの内的な情報処理プロセスの中で、不必要&不適切に情報が失われてしまう12パターンのうちの1つが「具体的に特定のものや人を指し示す名詞が省略されている」パターンです。これを〈メタモデルの不特定名詞〉と呼ばれています。
私たちは会話の中で、具体的に特定のものを指し示さないで話すことがあります。「みんな」とか「それ」「人は」などのように。これらの言葉は特定の人や特定の物が「誰か、なにか」ということを省略していて内容が明瞭ではありません。「人は〜というものだ」というように「人」という名詞を使えば、それがあたかも一般的に言われていること、一般論にすり替え、歪曲して理解されることにもなり得ます。
〈不特定名詞〉の省略の例
- それとって!(それが何かわからない…)
- 彼らがそう言っていたから。(彼らって、誰のこと?)
〈不特定名詞〉の省略の弊害
〈不特定名詞〉の省略によるデメリット
不特定名詞の省略省略が不適切に行われる(重要な情報が省かれてしまう)と、下記のような特徴が現れます。
- 思考やアクションを制限する
- 思考する時に省略がすぎると、論理が飛躍する
- 聞きたくないことを全て省略してしまうと、結果選択肢が狭まる
- 限定的な側面だけに注意が向き、他に向かない
- 情報が少なすぎると課題解決が困難になる場合がある
- 省略は体験の盲点となる
- 省略によって話の真意が不明確になる
これらが起こると情報不足が起こり、ミスコミュニケーションが発生しやすくなります。下記の〈調整方法〉を理解して活用しましょう。
〈不特定名詞〉の省略により失われた情報
- 誰が
- 何が
などのように単純に情報が省略されてしまいます。
〈不特定名詞〉による省略を回復させる方法
- 情報を収集する
- 意味づけを明確にする
- 制限を明らかにする
- 選択肢を与える
これらを可能にするのは、自分自身、もしくは相手に〈適切な質問〉をすることです。
〈不特定名詞〉の省略を回復させる質問
- 正確にはなにを?
- 具体的にはだれが?
〈不特定名詞〉の省略を回復させる質問例
- それとって!→なにを?
- 彼らがそう言っていたから→彼らってだれのこと?