内的表象とは、過去・現在・未来のいずれかについて、考えたり、思い出したり、想像した際に描かれたもののこと。思考のこと。
名称 | 内的表象 |
意味 | 自身の内側で物事を思い浮かべること。思考。 |
英語 | Internal Representation |
訳 | Internal=内の、内面の Representation=表象、表現、描写 |
内的表象とは?
(過去・現在・未来のいずれかについての)体験を、心の中で描写したもののこと。

私たちは、イメージや音、感覚、匂いや味などを実際に体験するだけでなく、その体験を記憶し、必要な時にはそれらの感覚を呼び起こして考えたり、想像したりします。リアルな体験を今していなくても、その時のようにリアルな感覚に戻ることができます。このように「今目の前にある出来事や、現実に起こっている体験ではないことを、自分の内側で思考したときの描写のことを内的表象と言います。
実際の体験もイメージも、同じ神経経路が使われている
私たちは実際に体験するとき(実際に体験を感じているとき)も、体験を内部に再現させているとき(内部で表象を描いているとき)も、同じ神経経路を用いています。
まだ口に入れてもいないのにレモンを見るだけで唾が出てくるのがまさにその例です。外からの情報を取り入れるために使っている五感は、心の中で考え、想像し、思い出すなどの経験を再体験するときには内に向かって働いています。
自身の内側への気づきは、人生の質に大きく影響する
私たちの喜びや楽しさも、すっきりした感覚も、重たいと感じる感覚も、人生の価値を与えてくれる「体験の質」はすべて感覚を通してやってきます。
「外部で何が起こっているか?」を知ることと同じくらい「自分の内部、心の中で何が起こっているか?」を知ることは人生の質を考える上でとても大切です。つまりは「内部の自分自身の思考・フィーリング・感情・状態にどのくらい気づいているか?」が人生の質に大きく影響しているのです。また自分自身の内部世界に気づけば気づくほど、自己理解が深まります。
自分の内側の表象を変えると、行動や気持ちも変化する
私たちは、リラックスしている時と緊張している時では行動が変わります。また物事の捉え方が変わると、気持ちが変わり、身体の状態も変化します。その結果、表情が明るくなったり活動的になったりという変化を引き起こします。
何か1つ変えると、他に影響が及ぼされより大きな変化が生じます。このように〈行動/身体〉〈状態/心〉〈物事の捉え方/思考〉のいずれか1つが変化すれば、他も変化するという関係性があります。(参考:コミュニケーションモデル・変化モデル)
内的表象の種類
内的表象は3つの種類に分けることができます。
- 過去について考える(思い出していること)
- 現在について考える(現在のこと)
- 未来について考える(想像・創造する)
過去について思い出す
過去の出来事は、目の前にありませんが私たちは思い出すことができます。内側に向かって五感(表象システム)を働かせ、その体験を再度描写し、過去の出来事について考えたり再体験をします。
(過去の出来事を思い出すとき、私たちは人によって思い出すきっかけとして使っている五感が異なります。人によっては映像(視覚情報)をもとに思い出す、他の方は言われた言葉(聴覚情報)をもとに思い出すなど。思い出すきっかけとなる感覚のことをリード表象システムと言います。)
現在のことについて考える
何かについて考え事をしているとき、文字情報にして整理するのが得意な人もいれば、図やイメージの方がスムーズな人も、身体を動かしながら考え事をする人もいます。考える時にも、私たちはそれぞれの得意な五感を使って情報を整理しています。(考えるときにメインで使っている感覚をプライマリー表象システムと言います。)
未来について想像する・創造する
未来はまだ現実に存在していません。ドラマも小説も映画も、ストーリーは創造されたものです。私たちは想像し、創造します。このないものについて考える方法を持っていることでクリエイティブに生きています。ないものを創り出すとき、それが絵になって見える人もいれば、音になって聞こえてくる人もいます。まだないものについて思いを馳せる時にも私たちは五感を使って頭の中に世界を描写しています。
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- コミュニケーションモデル
- 表象システム
- アイ・アクセシング・キュー
- メンタルマップ
- 二次的体験(言葉やシンボル)⇄一次的体験(感覚的な表象)