誰もがみんな五感を活用して生きていますが、実はその傾向や使い方は千差万別です。特に思考方法は「五感の使い方」が大きく影響していて、能力を発揮するには自分の傾向を理解しそれを活かすことが重要です。
この記事では思考方法の仕組み=「外界から得た情報を内部で処理する仕組み」をご紹介します!
表象システムとは?
表象システムとは、私たちが外界から五感を通して取り入れた情報を、内部でどのように処理するかについての仕組みです。つまりは、私たちがどのように「思考」しているかについて知ることができるモデルです。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の5つの感覚器官と、言語(言葉)に関連しています。
これらは自分自身や他人が「世界をどのように認識しているか」を理解するための重要な手がかりとなるものです。そのためこれを理解することで、自分の認識や行動をより深く知った上でより効果的なコミュニケーションや学習方法の開発を促進させることが可能になります。
表象システムと五感
〈五感〉は情報インプットに使われます。(外界から情報を得るとき)
それに対して〈表象システム〉は思考に使われる五感です。(内部での情報を処理するとき)
働き | 五感 | 表象システム | |
1 | 見る | 〈視覚〉 実際に目で見る | 〈視覚システム〉 内部で絵をイメージする |
2 | 聴く | 〈聴覚〉 実際に耳で聞く | 〈聴覚システム〉 内部で想像して聴く |
3 | 感じる | 〈触覚〉 実際に触れる、感じる ・触覚 ・皮膚感覚 | 〈運動感覚〉 内部感覚としての ・自己受容の感覚 ・バランス感覚 ・内臓の感覚など |
4 | 味わう | 〈味覚〉 実際に味わう | 〈味覚システム〉 内部で味を想像する |
5 | 嗅ぐ | 〈嗅覚〉 実際に匂う | 〈嗅覚システム〉 内部で匂いを想像する |
6 | 言語を処理する | ー | 〈言語システム〉 内部で言葉を再生する |
表象システムの6種類
表象システムは、内部での情報処理の仕組みです。それぞれのシステムで処理される情報は異なります。
⑴ 視覚システム(Visual System)
実際に見たもの(外界からの刺激)ではなく、記憶されたイメージや創造したイメージ(内面でつくり出したもの)を頭の中で見る感覚のことを指します。
視覚システムに意識を向けると、想像力に富んだアイディアやイメージなどに関する思考が活発になります。
⑵ 聴覚システム(Auditory System)
実際に聞いたこと(外界からの刺激)ではなく、記憶された音や創造した音(内面でつくり出したもの)を頭の中で聞く感覚のことを指します。
⑶ 運動感覚(Kinesthetic System)
直接触れて感じる皮膚感覚(外界からの刺激)ではなく、身体の緊張や運動(身体の内側からの刺激)によって得られる感覚のこと。
運動感覚は、広義には
- 筋肉の感覚
(筋肉や関節の動きによって得られる内側の感覚。固有感覚。自己受容感覚。) - バランスを司る感覚(平衡感覚)
- 空腹や満腹、渇きなどの感覚(内蔵感覚)
などの、身体の内側で感じる感覚のことを指します。
⑷ 味覚システム(Gustatory System)
実際に香ったもの(外界からの刺激)ではなく、記憶された香りや創造した香り(内面でつくり出したもの)を感じる感覚のことを指します。
⑸ 嗅覚システム(Olfactory System)
実際に香ったもの(外界からの刺激)ではなく、記憶された香りや創造した香り(内面でつくり出したもの)を感じる感覚のことを指します。
⑹ 言語システム(Digital System)
言葉は「言うか/言わないか」のどちらかでしか表せない「デジタルな情報」です。この言葉というデジタルな情報を処理するのに言語システム(デジタル・システム、メタ表象システムとも呼ばれる)が使われます。
私たちが考えごとをしているとき、言葉を使って思考しています。言語システムは、論理的で批判的な思考に有効です。
【⑹-a】デジタル視覚(Visual Digital)
デジタル視覚とは、視覚から入ってくる言葉情報のこと。イメージを言葉に変換して「意味」として扱う場合にも使われます。(視覚情報を言語に置き換える。)
- 視覚データ = 絵(色味、大きさ、遠近、彩度など)の情報
- デジタル視覚データ = 絵から得られる言葉(内容、意味)の情報
【⑹-b】デジタル聴覚(Auditory Digital)
デジタル聴覚とは、聴覚から入ってくる言葉情報のこと。音を言葉に変換して「意味」として扱う場合にも使われます。(聴覚情報を言語に置き換える。)
- 聴覚データ = 音(リズム、音程など)の情報
- デジタル聴覚データ = 音から得られる言葉(内容、意味)の情報
まとめ
表象システムの6つをご紹介してきました。
この中でも特に、視覚システム、聴覚システム、触運動覚(触覚&運動感覚)システムの使い方が私たちの思考力や能力発揮に大きく影響を及ぼしています。
私たちは、どの表象システムを優先的に使っているか、どんな時にどのように活用しているかを無意識に切り替えています。それが効果的に働いている場合はOK!ですが、非効率、非効果的に働いている場合はそれを変える必要があります。そんな時に自分の得意な「表象システム」を理解し、それを活かすことで思考や行動パターンを変えることが簡単にできるようになります。
あなたは考え事をするときに、イメージを思い描きますか?(視覚システム)それとも音を聴きながら?(聴覚システム)もしかするとまずは試してみよう!と動き出すかもしれません。(運動感覚)どのシステムを優先的に使っているかを知ることから、初めてみてください。