表象システムとは、対内的に使う感覚(システム)のこと。
名称 | 表象システム(=代表システム、表象チャネル、表象チェンネル) |
意味 | 対内的に使う感覚(システム)のこと |
英語 | Representational System |
訳 | Represent=心に描く・想像する System=システム・方法 Representational System=(人が何かを)心に描くときの方法 |
表象システムとは
表象システムとは、対内的に使う感覚(システム)のこと。
私たちは〈対外的な感覚〉と〈対内的な感覚〉を活用して物事を体験をしています。
イメージや音、感覚、匂いや味などを実際に体験する時、感覚(五感)を外に向けて使っています。(対外的)その体験を記憶したり、思い出したり、想像したりするときには、感覚を内に向けて使っています。(対内的)このように「今目の前にある出来事や、現実に起こっている体験ではないことを、自分の内側で作り出す時に使う感覚のことを表象システムと呼びます。
表象システムの仕組み・特徴
私たちは実際に体験するときも、体験を内部に再現させているときも、同じ神経経路を用いています。(レモンを見るだけで唾が出てくる、過去の楽しかった出来事を思い出して笑ってしまう、などがまさにその例です!)
外の情報を取り入れるために使っている五感は、心の中で考え、想像し、思い出すなどの経験を再体験するときには内に向かって働いています。
- 表象システムとは、感覚を使って内側で情報を整理するときに使われる感覚のこと。
- 心の中の情報を整理する際には、1つ以上の感覚が用いられます。
- 西洋文化圏では、五感の中でも特に視覚・聴覚・身体感覚の3つが代表的です。
- 私たちはこれらを等しく意識しているのではなく、どれかに偏りがちです。
- そのため、どの感覚にも同じだけ注意を向けるのは難しいと言われています。(どこかに注意が向くと、どこかには注意が向かなくなります。)
- 表象システムは互いに排除し合うものではありません。
- 私たちは内的な感覚に意識が向いていればいるほど、外部で起こっていることには注意が向きにくくなります。
- 逆に、内部に意識が向いていればいるほど、外部に意識が向きにくくなります
表象システムの3パターン
- 【現在】について考える時に優先して使う感覚:プライマリー表象システム
- 【未来】について考える時に優先して使う感覚:プライマリー表象システム
- 【過去】について思い出すときのトリガーとして使う感覚:リード表象システム
現在について考える
現在について考えるときに、私たちはいずれかの感覚を〈優先的に使って〉考えています。この【現在について考えるとき】に優先して使っている感覚のことを「プライマリー表象システム」と言います。
これは人によって異なりますし、また同じ人でも状況によって使う感覚が変わります。
未来について考える(想像・創造する)
【未来について考えるとき】に優先して使っている感覚もあります。これも人によって異なります。
過去について考える(記憶・思い出す)
【過去について考えるとき】に優先して使っている感覚もあります。人は、何をきっかけとして記憶を思い出すかが異なります。【過去について思い出すとき】のトリガーとなる感覚のことを「リード表象システム」と言います。
表象システムの6種類
表象システム(対内的に使われる感覚)
- 視覚(システム):対内的な視覚情報を扱う
- 聴覚(システム):対内的な音情報を扱う
- 触運動覚(システム):対内的な触覚や直感的感覚を扱う
- 嗅覚(システム):対内的な匂い情報を扱う
- 味覚(システム):対内的な味情報を扱う
- 言語(システム):対内的な言語・意味情報を扱う。
デジタルシステム、メタ表象システムとも言う。
【a】デジタル聴覚:音を言葉に変換して意味として扱う
【b】デジタル視覚:イメージを意味に変換して扱う
視覚(システム)
対内的な視覚システム。内側で視覚を活用しているとき、私たちはイメージ(映像・そのシーン/画)を見ています。視覚システムに意識を向けると、想像力に富んだアイディアやイメージなどに関する思考が活発になります。
*デジタル視覚:視覚的なイメージやシンボルが、意味を成す時があります。視覚もデジタルなメタ表象システムになります。
聴覚(システム)
対内的な聴覚システム。内側で聴覚を活用しているとき、私たちは音や言葉を聴いています。
触運動覚(システム)
対内的な触運動覚。直感的感覚。内側で触運動覚を活用しているとき、私たちは感情や、心理状態を感じています。触運動覚システムに焦点を当てると、より行動志向になり現実的になります。
嗅覚(システム)
対内的な嗅覚。
味覚(システム)
対内的な味覚。
言語(システム)
対内的な言語。内側で考え事をしているとき、内的な会話をしているとき、私たちは言葉(言語)を使って思考しています。言語システムは「デジタルシステム」「メタ表象システム」とも呼ばれています。
言葉が対内的に使われる場合にも2つの場面があります。
- 音を言葉に変換して意味として扱う場合(聴覚情報を言語に置き換えるデジタル聴覚)
- イメージを意味(言葉)に変換して扱う場合(視覚情報を言語に置き換えるデジタル視覚)
言語システムは、論理的で批判的な思考に有効です。
表象システムを構成しているもの
私たちが「見る」と言っているのは、具体的には「それが何色なのか?」「ここからの距離がどのくらいなのか?」「動画なのか静止画なのか?」「明るさは?」「大きさは?」などたくさんの情報を統合して見ています。これらの「見る」という行為を成り立たせている1つ1つの要素を「視覚のサブモダリティ」といます。
内面で体験を再現するときに使われている感覚(見る・聴く・感じる)には、それを成り立たせる副次的な感覚の要素があり、NLPではそれを従属要素/サブモダリティと言います。

視覚
視覚のサブモダリティの例
- カラー/モノクロか?
- 位置は?
- 動画なのか?静止画なのか?
聴覚
聴覚のサブモダリティの例
- 音量は?
- テンポは?
- 音の継続時間は?
触運動覚
身体感覚覚のサブモダリティの例
- 感覚の強さは?
- 感じる位置は?
- 感じるのは連続的?断続的?