キャリブレーションとは、相手の(心理)状態を観察し読み解くこと。
名称 | キャリブレーション |
意味 | 相手の心理状態を、非言語的なサインから見分けること |
英語 | Calibration |
訳 | 調べたり、調整すること |
キャリブレーションとは?
キャリブレーションとは、相手がどのような心理的状態にいるかを見分けることを意味します。私たちは、いろいろなことを思い出したり、考えたりすることで、さまざまな心理状態を経験します。そのとき、その心理状態は身体にも影響を及ぼし、それらは外部に兆候として表れます。
コミュニケーションがスムーズな人たちは、相手の心理的な状態や反応について、自らの思い込みや誤った判断で決めつけたり幻想を抱く代わりに、相手の反応を都度観察しながら適切にコミュニケーションをとっていくことに長けています。
コミュニケーションは、言語と非言語に分けることができます。言葉のコミュニケーションが大切なことはもちろんのこと、非言語のコミュニケーションは同じかそれ以上に重要です。言葉は意識していることを表現するものである一方、非言語は本人が自覚していない無意識的なものさえも表現してしまうものです。つまり非言語サインについての理解を深め、よく観察して、それらのサインに気づけるようにトレーニングすることによって、人々が無意識にどれほど多くのサインを表現しているかを知ることができます。
また他の人の非言語を観察し、理解した上でコミュニケートすることは信頼関係を築くスキルの1つです。(信頼関係を築くスキルのことをラポールスキルと言います。)人のどこを観察するとよいのかを理解し、そのポイントについて感覚的な気づきを持つことは、相手の状態を理解すると同時に、コミュニケーション全般においてもっとも重要なスキルとなります。感覚の鋭敏性を高めるためにこのキャリブレーションの理解とトレーニングは欠かせません。
キャリブレーションの種類
これは私たちが日常生活でも自然と使っているコミュニケーションスキルですが、人の心理的状態の変化による非言語サインはたくさんあります。そのためどのような項目があるか、どのような違いがあるかの観察方法の粒度を高めることで、観察力と、コミュニケーション能力を発達させ、洗練させることが可能です。
- 表情(筋肉の緊張は?皮膚の色は?唇の形は?)
- 姿勢(頭の角度は?手足の位置は?腕の組み方は?身体のバランスと体重の掛け方は?)
- しぐさ
- 呼吸(深い/浅い?・速い/遅い?・肩で/お腹で?)
- 話し方(声の調子は?テンポは?トーンは?高低は?音量は?)
- 眼の動きと瞳孔
キャリブレーションのポイント
人の非言語を観察して、心理的状態を見分けるときに注意が必要なのはそれが観察者側の「思い込み」にならないようにすることです。人は皆異なります。同じ出来事に対するAさんの反応と、Bさんの反応は同じこともあれば、異なることもあるでしょう。決めつけないためにもキャリブレーションで大切なことは、
- フラットな目線で相手の非言語サインを観察すること
- 相手の「感覚」を特定するのではなく相手の「非言語」を特定すること(ex.×緊張している ○呼吸が浅い)
キャリブレーションの手順
人によってどのような非言語サインが、どのような意味を持つかは変わります。観察ポイントは上記の種類の通りですが、それがどんな意味なのか?は個々人によります。そのためキャリブレーションを行うには手順があります。
- 相手の非言語に関する情報を集める
- どのような心理状態かを理解するために、集めた非言語情報を使う
相手の非言語に関する情報を集める
多くの人に共通する非言語も存在しますが、個々人によって変わることもあります。その人の非言語情報を丁寧に観察しておくことと、そのときにどのような心理状態にあったかを聞けるならば聞いておくことが大切です。
集めた非言語情報を使う
非言語情報と、そのときの心理状態の関連を知ることができたら、コミュニケーションの中で非言語から相手の心理状態を読み解き、見分けることができるようになります。
キャリブレート・ループ
コミュニケーションをしている際に、ある人の行動や振る舞いが、相手から特定の反応を引き出すことがあります。このようにコミュニケーションでは相互作用が起こりますが、言語的なものではなく、非言語で、無意識的なコミュニケーション・パターンのことをキャリブレート・ループと呼びます。
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キャリブレーション・トレーニング