モデリングとは、他者の優れた振る舞いを観察し、それを真似することを指します。
名称 | モデリング |
意味 | 他人を観察し真似すること |
英語 | Modeling |
訳 | Modeling=手本に一致させる、手本をもとに具現化する |
モデリングの概要
モデルとは
本来モデルとは現実そのものではなく、現実のある一部や一面を、より実践的で具体的な方法として取り込むために作られるものです。フレームワークとも言われます。
- 現実をシンプル化させた「模型」のこと
- お手本・真似する対象としての「見本」のこと
モデリングとは
特に心理学の分野では、特に他者の優れた振る舞いを観察してそれを真似することを言います。
自身のお手本となる存在や真似する対象としてのモデルの存在は、学習においてとても大切です。「ステキだな」と思うその気持ちから、その人の行動・振る舞い・ファッション・ライフスタイル・考え方…などを自然と取り込んでいた経験はありませんか?私たちが「お手本と思う存在を真似すること」をモデリングと言います。
ex.好きなアーティスト、歴史上の人物、キャラクター、尊敬する人、憧れの存在など
モデリングの歴史
1960年代にアルバート・バンデューラは「人は他者の言動を観察することによっても学習する」という社会的学習理論(モデリングによる学習)を提唱しました(ボボ人形実験)。これまでの学習は「本人が直接体験していることから学ぶもの」と思われていましたがこの理論の提唱によってそれまでの考え方が大きく変わりました。他者の卓越した状態を再現する方法として、モデリングはとても有効です。
その後、卓越した結果を出している心理療法家たちのアプローチに共通するパターンを解析しNLPモデルが開発されて行きました。NLPでは卓越した天才たちの「行動」だけでなく「思考」「五感」「言語」を研究しました。これらの「なぜ成功するのか(why)」を分析する一連のプロセスをモデリングというようになりました。
モデリングの特徴
モデリングは加速学習
見本をそのまま真似するプロセスは、新しいことを学ぶにあたりとても効果的な方法で「加速学習」と呼ばれます。通常、学びは「学習の5ステップ」と呼ばれるよう段階的に学んでいくと考えられています。具体的には知識を身につけ、実践を繰り返し、能力へと段階的に進むという学習方法です。
しかしモデリングは「見本を真似すること」もしくはあたかも「その人であるかのように振る舞う」ことを通して「一気にできる状態を実現させる」ことも可能にします。もしくは「どのようにしてそれが実現されているか」を体感することで、学びを加速させることが可能です。
モデリングの種類
モデリングは「見本を真似る」ことで学ぶ学習方法の1つです。では「誰を」モデリングするのでしょうか?その人の「何を」モデリングするのでしょうか?
誰をモデリングする?(Who)
モデリングの対象人物は、2つ挙げられます。
- 他者(他者のモデリング)
- 自己(自分のモデリング)
⑴ 他者モデリング
一般的なモデリングは、他者を見本とするものです。子どもであれば周りにいる大人、特に身近にいる両親や家族をモデリングすることで学習・成長すると言われています。思春期には憧れや好ましい存在のファッションや行動を真似した経験があるのではないでしょうか。大人になるにつれて、高いパフォーマンスや卓越性を発揮する人、成功している人、ライフスタイルに親近感があるモデルを見本とするなど、能力、信念や価値観をモデリングするなどが挙げられます。
⑵ 自己モデリング
モデリングは、自分自身を見本とすることもできます。自分の卓越した状態・結果をモデリングする、成功パターンを分析して、それを再現性のある能力にする、などすでにある能力の再現性を高める、パフォーマンス自体をより高める方法に使うことができます。(セルフモデリングとも言います。)
何をモデリングする?(What)
モデリングの対象は、目で見えるもの(服装、持ち物、行動)だけではありません。目では見えない能力や信念・価値・セルフイメージもその対象とすることが可能です。
*この5つはロジカルレベルと言われます。
環境のモデリング
- どんな環境・状況にいるか?
- ex.心地いいコミュニティに入る
行動のモデリング
- どんな行動・振る舞いをしているか?
- ex.服装、持ち物、言葉使いなどを真似する
能力のモデリング
- どんな能力を使っているか?
- 行動の戦略、思考パターン、マインドセットなど
- ex.仕事ができる先輩を観察して、卓越したマネージメント能力やリーダーシップスキルをモデリングする
- ex.友達の戦略的な思考プロセスを教えてもらい、真似してみる
- ex.初めてのスノーボードで、“上級者の滑り”を見てそれをモデリングしてやってみる
- ex.デザインのトレースをしてプロの技をモデリングする
信念・価値観のモデリング
- どんな信念・価値観を持っているか?
- 何を信じているか。何を大切にしているか。
- ex.尊敬する歴史上人物が、何を大切にしてそれをどのようにそれを行動に移していたかをモデリングする
- ex.魅力的な企業は、ビジョンをどのように事業に落とし込んでいるのかモデリングする
アイデンティティのモデリング
- どんな自己認識を持っているか?
- どんなセルフイメージを持っているか
- ex.あたかも自分が社長になったかのように振る舞う(あたかもフレーム)
下に行けば行くほど、学習による変化の度合いが大きく本質的な学びに繋がります。モデリングすることで、従来の学習プロセスよりも早く学ぶことが可能です。(このように1つ1つ知識や経験を通して学習するのではなく、真似することで一気に学習することを加速学習と言います。)
何のためにモデリングする?(For What)
人生におけるさまざまな分野で、モデリングは活用することができます。
- 仕事・キャリア(ex.営業スキル、思考スキル)
- お金・経済
- 人間関係(ex.リーダーシップスキル)
- 家族関係
- パートナーシップ(ex.コミュニケーションスキル)
- 自己成長
- 健康(ex.健康維持・促進、病気の回復)
- 余暇
モデリングの活用
モデリングを効果的にする3ステップ
- モデリングする
- 必要不可欠な要素と、省いても問題ない要素を明確にする
- 学習のポイント(技法)を組み立てる
関連
関連ワーク
- モデリングエクササイズ
- 行動モデリング
- 能力モデリング(ストラテジー・戦略モデリング・TOTEモデル)
- 信念・価値観モデリング
- アイデンティティ・モデリング
- 自己モデリング
- あたかもフレーム(as if フレーム)
- タグリスト(人物編)
- マッピング・アクロス(モデリングは、成功観察とマッピングのプロセス)
関連キーワード
- ストラテジー(その人の認知プロセス/戦略のマッピング)
- 学習の5ステップ(⇄加速学習/モデリング)
- 加速学習(⇄学習の5ステップ)
- ロジカルレベル
- あたかもフレーム
- 表象システム(人の戦略を分解して理解する)
- サブモダリティ(人の戦略を分解して理解する)
関連インフォメーション
- 令嬢アンナの真実(Netflix)
- ボボ人形実験
- Albert Bandura(アルバート・バンデユーラ)